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第二章

21.嫌味と仕返し

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しばらくして学園では静かに過ごせるようになった。


まぁ、クラスを出てからものすごく視線を感じるけど。
ある程度気にしないようにしていればいいと思っていたのだが――。



「なんて無礼な…」

「お義姉様」

私はもう慣れたが、学園内で私を良く思ない生徒が私をジロジロ見て噂をしていたのをジュリア様やシルビアが嫌悪感を示した。

サーシャに至っては私の傍にピッタリくっつきガードしている。


けれど、ここは知らない振りをしてやり過ごすのが一番だった…はず。


「何をしている」

「人をジロジロ見るのは失礼な事だと忘れてしまった人がいるようだね」

好奇の視線に晒されながらやり過ごそうとしていたのだけど、そうは行かなかった。


「ハロルド殿下!」

「ロウなウド殿下!」


何故このタイミングに!


「やぁリゼ。ごきげんよう」

「元気そうだな」


ええ、元気ですよ。
貴方達に会うまでは元気だったんですよ!


「試験の出来は悪くなかったみたいだな。数学の方は心配していたんだが」

「はは…」

ハロルド殿下が心底驚いたように言っていたが、私が理数系が苦手で前回も成績が微妙だったことをあざ笑う声が聞こえた。


「まぁ…なんて恥知らずな」

「殿下にまでご心配をかけるなんて」


聞こえているんだけど。
隠す気はなくわざと言っているのが丸わかりだった。


今さらだけど。


「あんなに数学が苦手だと言っていたのにすごいじゃないか。前回の試験よりも順位が上がっている」

「ああ、頑張ったんだな」


そんな中二人は私の成績が上がった事を褒めてくれた。

「人間だれしも不得意はある。私は勉強は得意だが副科が苦手だからな」

「兄上は昔から目利だけでしたしね」

「悪かったな」


ハロルド殿下は優秀であるが芸才に関してはそこまでずば抜けていなかった。
今でこそ目利きはあれど、作る側となればかなり独創的な作品が出来上がってしまうのだ。


「僕は無難だけど、君のように特別秀でている物がないからね。一つでも優れた物を持つ事は素晴らしいよ」

「そっ、そんな」

「何より苦手な事も努力しようとする姿勢は見習うべきだ。誰しも完璧な人間はいないのだからね」

「ロナウド様?」

何故か、ロナウド様の視線が冷たくなった。



「おや?どうしたんだお前達」

「何だ、この人だかりは」


そこに現れたのは生徒会幹部の皆さん。


「兄上…」

「いやぁ、試験の結果を労いに来たんだが…エリーゼ嬢。数学の成績が上がっていたね?毎日放課後図書室で勉強していたんだって?」

「ほぉ、感心だな」

「エリーゼ、頑張ったんだな。君はあれ程数学が苦手だったのに」


そろいもそろって私を小さな子供のような温かい目で見守り褒めてくれた。

私的には居た堪れないわ!



「まぁ、この程度で満足されては困りますが…褒めてあげてもいいでしょう」

「どーも」

そして最後に本当に失礼な男だな!



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