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第二章
5.学園へ
しおりを挟む入試の時は迷子になったが、入学式はなんとか迷わず済んだ。
「申し訳ありません」
「いいえ、お気になさらず」
入試当日、私が迷子になって、同じ受験生に教室まで連れて行ってもらった事はその日にバレた居たとか。
「行ってくだされば私も同行しましたのに」
「失念していた。配慮が欠けて悪かった」
ここまで言われるともう居た堪れなくて仕方なかった。
とりあえず学園内で迷子になったことはお母様に言わないで隠してくれたことは心から感謝だわ。
「私も同じ寮ですので、これからは毎日私がお一緒しますのでご安心を」
「いや、そんな迷惑は…」
「遠慮はいらない。本来ならば俺も付き添いをしたいが、残念な事に学年が違うし、俺はロベルトのお目付け役があるからな」
「あー…」
遠い目をするロミオ様の心中を察した。
学園内でも苦労をさせられているんだろうと思うと、ロミオ様の苦労は相当な物だろう。
いや、もしや学園内では重度のブラコンであることは隠してあるのだろうか?
「生徒会の仕事もあるからな」
「お兄様は生徒会役員ですものね。流石ですわ」
「俺なんて他のメンバーに比べればたいしたことはない」
王立魔法学園では魔力、学力の成績が優秀な生徒は生徒会役員に選ばれるのだ。
勿論シルビアはも候補に入っている。
なんせ風の精霊の加護を受けているだけでなく、とても優秀だからだ。
私はと言えば生徒会の役員に入れる程の学力も魔力も全くないのだけど、別にそこは気にしていない。
「お義姉様も生徒会の候補に入っていたら良かったのに」
「無理を言うんじゃない」
「だって、そうすれば放課後はイチャイチャパラダイスですわ!」
ああ、シルビア。
そんな言葉を何処で覚えて来たの。
明るくなってくれたのは嬉しい。
すごく嬉しいけどね?
私も人の事は言えないけど。
そんな言葉を使うと、ロミオ様が嘆くわよ。
「また妙な本を読んだのか」
「新しいジャンルに挑戦しようかと思いましたの」
「何かが根本的に違う…」
別の事に挑戦精神を持って欲しいと思うのは私だけなの!
「エリーゼ、申し訳ないが…頼む」
「はい、お任せください」
別の意味で心配なシルビアを私がしっかり守らなくてはならない。
私以上にシルビアは温室育ちである事から、他の生徒から彼女の身を守る必要がある。
そう、シルビアを邪な目で見なように。
よく観察をしておかないと行けないし、折角学園に入るのだからシルビアの交流関係も広くしないと。
よし!
がんばろう!
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