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第一章
41.刺激的な誕生日
しおりを挟む私が12歳を迎えた誕生日パーティーは邸内で行われた。
通常、高位貴族は派手なパーティーを行うのだけど。
私は現在社交界で色々噂を流されているので、邸内で身近な人に祝ってもらえる方が良いとの事でこじんまりとしたホームパーティーをお願いした。
…そのはずなのに。
「私の細やかなホームパーティー…」
失念していた。
スチュアート家は貴族内でも有数の資産家であること。
サブリナ様は王族の親族に当たる方だったし、私の誕生パーティーに参加する人達を失念していたのだ。
「やぁ、エリーゼ」
「ご機嫌麗しゅうございますロベルト殿下」
「今年はささやかなホームパーティー式にすると聞いたからな。協力させてもらった」
「あの…この巨大なケーキは」
どこぞのハリウッド女優の結婚式に負けない程の豪華な飾りつけに、五段のケーキ。
宝石のように輝く最高級のお菓子に、王族専属のパティシェやソムリエにシェフまでずらりと控えている。
「質素にしたからな。少し地味だが」
(どこがだ!)
ふらりと眩暈がした私だったがその後ろで真っ青な表情をするお母様は見なかったことにしよう。
「いやぁ、本当はもっと派手に祝いたかったんだが…社交界でこれ以上騒がれるのは厄介だろう?」
「はは…」
第一王子でありながら幾つかの領地を任され、自身も財を確保しているロベルト殿下からすればこの程度はどうということもないのだろうけど。
「しかし、君の噂は俺の耳にも入っているが…活躍しているようだな」
「活躍?」
「俺達の間でも君の功績は噂になっている。不治の病の伯爵夫人を救い、伯爵家を狙っていた卑しき者から命がけで守ったとか…伯爵家の救世主だとも噂が流れているぞ」
(もう、穴に入りたい)
何?
私は前世の知識を使ったけど、あくまで私は知識を提供しただけだ。
協力者であるシャノワール商会や、ギルドの皆さん。
セバスチャンの協力無くしてそれは叶わないのに、何故か私の功績になっている。
「何より禁忌の花の出所を見つけてくれて助かった。あの女は違法的手段を使っていたが、君のおかげで罰することができる」
ベッキーはあの後牢屋に捕らえられた。
通常ならば貴族が罪を犯した時に捕らえられる牢屋に入るのだけど、ベッキーは平民が重罪を犯した牢屋に閉じ込められた。
聞けば、ベッキーを確実に罰する為にユアン様は動いていたとか。
本当ならばもっと早く追放するつもりだったのだが、追放だけでは生ぬるいとの事だ。
その為、少しばかり時間がかかったらしく。
私が邸内の換気や掃除を行う様に頼んだ時点でユアン様は既にベッキーの洗脳から完全に開放されていたようで、詩ベッキーをできるだけ重罪にとして裁く準備をしていたとか。
まったく気づかなかった私もアホだけど。
けれど、私がベッキーを煽った御かげで罪状は更に追加された事で、二度と貴族に戻ることはできず、平民でも真面な職業に就くこともできず私達の前に姿を現すことはできないようにしたとか。
うん、恐るべし宰相閣下。
とりあえず伯爵家を脅かす存在はなくなった。
今は私を脅かす問題に対峙しなくてはならない。
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