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第一章

33.現れた魔女~ベッキーside

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全ての計画が順調だった。
サブリナは病床に臥して、精神的に弱くなっていたが、まだ正気だった。


けれど、社交界での噂ではもう価値はなく、私が代わりに伯爵夫人の代理をしていたのだ。


ただ、大事なパーティー等は決して私を同席させようとはしなかった。

ユアンは未だにサブリナの呪縛から逃れられないようだ。

あの面倒な老執事も何かと邪魔をするけど、もう高齢で、私が伯爵夫人になった時には絶対追い出そうと思っていた。


そんなある日だった。
王族主催のお茶会に参加することになった。

私が同席したか乗ったのに、あの女は今だに図々しくも伯爵夫人の座にしがみ付き、顔色が悪いのにお茶会に参加すると言って聞かなかった。


まぁ、伯爵家の恥さらしを連れて行き、恥を書けばいいと思ったのに。

お茶会から帰って来た彼等はとても楽しそうだった。


「お母様、私、お外は怖いものだと思ってました」

「そんなことはないのよ…」

「はい、私、お外に出るのが好きになりました。だって初めてお友達ができたんです」


友達ですって?
そんなはずはないわ!

社交界ではシルビアの悪い噂が流れていた。
それに加えて伯爵家の疫病神としての噂も付け加えて私が悪い噂を広めたのだから。

高位貴族は勿論、下級貴族だってあれを忌み嫌う様に仕組んだのに。


「エリーゼ様にまた会えるかしら」



この時耳にしたのがエリーゼという貴族令嬢。


その後調べると、トリアノン公爵家の長女だと知るも、危惧することはなかった。
社交界で爪はじきになり、出来損ないと呼ばれる凡庸で、知性も美貌もないと言われている。

むしろ社交界で有名なのは妹のマリアンヌ令嬢だと聞かされた。
ようするに傷の舐め合いだと思ったが、まさかあの出来損ないがロミオ様の婚約者として迎えられるとは思わなかった。


噂によれば、マリアンヌ様を迎える予定が、妹が嫌がり代理として来るとか。
ユアン様もお可哀想に。

きっと公爵家から無理矢理押し付けられたのね。
私が伯爵夫人だったならば、そんな事は許さないのに。

でも、社交界で相手にもされないならシルビアよりも簡単だと思った。
見るからに頭が悪く、貴族令嬢の気品の欠片も見えないし、器量も悪く、血筋ぐらいしか持ってない。


ならば利用してやろうと思ったのに。


なのに――!

どうして!

あの出来損ないは生意気にもサブリナの面倒は自分が見ると言い始め、私から遠ざけた。
しかも勝手に医師を変え、多くの名医を呼び始めた。

その頃からだ。
サブリナの体調が改善しだしたのは。

食事も変えられてしまった。
所詮は浅知恵で、医者の真似事だと馬鹿にしていたのに、歩く事も難しかったサブリナは日に日に体力が回復し、歩けるまで回復していき、美しくなった。


どうして…。

青白く、髪だってみすぼらしくなったのに!

なのに、旦那様はサブリナの回復を心から喜び、私を遠ざけるようになり。
二人は時間が許す限り行動を共にして愛を囁く。

その優しい笑顔をどれだけ欲しか。

あの女は簡単に奪っていく。

全てはあの出来損ないの所為。
だから少し仕返しをしてやったのよ。

マナーがなってないとこれ見よがしに指摘し、ダンスレッスンの最中、足元に本を置いたり。

床を滑りやすくしたり。

時には本に針を仕込んだのに。

傍付きのあの侍女にすべて邪魔されてしまった。
その所為で、下手に近づけなくなったから夕食時にお茶にあの薬を混ぜたのよ。

飲めなくしてやればいい。
もしくは喉を傷めて声を失ってしまえばいいと思ったのに!


何でピンピンしてるのよ!

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