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序章
9.伯爵家の事情
しおりを挟むスチュアート伯爵が宰相になってから、税金の見直しや、無駄な国家予算を見直しがされるようになった。
これまで王宮に仕える侍女達の中にはは高位貴族の後ろ盾がある者に限定され。
八百長も少なからずあったのだが、全てを見直したのが宰相閣下とスチュアート夫人だった。
その所為で内心は腸が煮えくり返っているのだが、国王陛下は優秀な宰相を右腕として迎えているし。
専属の護衛騎士とも親友であることから簡単に手は出せない。
スチュアート夫人も隙が無く、社交界では優秀さを発揮している。
外交手段も素晴らしく他国との渡りもあり、王妃陛下にも信頼されていた。
下手に手を出せないと思っていた矢先に二人の間に弱みができた。
それがシルビア様だった。
強い魔力を持った子を出産するのは母体にも影響がある。
元から体が丈夫ではなかったスチュアート夫人は出産と同時に体が弱くなってしまった。
それだけならばまだ良かったのだが、シルビア様は魔力が強すぎて制御ができず。
一度お茶会で魔力を暴走させてしまった事があり、危険だとされた。
その後にスチュアート家に災いを呼ぶ悪魔だと言われるようになったのだ。
間が悪い事にスチュアート夫人の母君が不治の病に侵され、続いて宰相閣下の父君も病を患い始めてしまった事で社交界では不幸を撒き散らす元凶だと噂が流れ、シルビア様を攻撃し始めた。
彼等の目的は解っている。
シルビア様を利用して、宰相閣下をその座から引きずり落とす気だろう。
噂を鵜呑みにしてない貴族も関われば火の粉が自分に向くだろうと思い見て見ぬふりだ。
馬鹿げている。
弱い人間を叩くなんておかしい。
体の弱い人を思いやれないのは自分達が温かい思いやりに包まれたことがないからだ。
スチュアート家の人達は本当に温かみのある優しい人ばかりだった。
社交界で笑い者の私をロミオ様もシルビア様も気にせず接してくれているし、スチュアート夫妻も同じだ。
「私が王室に入る事で彼等を守ってあげられるかもしれないわ」
「お義姉様…」
「私はスチュアート家に大きな恩がある。でも、マリアンヌならまだしも、私個人では守れないわ」
優しい友人なの。
誰よりも優しくて思いやりに溢れる二人が傷つけられていいはずがない。
だから守りたいの。
ゲーム通りのシナリオになれば、どうなるか解らない。
ロミオ様は攻略対象ではあるけど、そうなるとシルビア様の立場がどうなるか。
万一ロミオルートを選ぶとシルビア様は兄の幸せの為に行方を眩ませてしまうのだ。
それだけはなんとかしないと。
一番理想的なのはメインヒーローとのトゥルーエンド!
できれば第一王子のロベルト様と結ばれるのが理想的だわ。
他の攻略対象だと、悪役令嬢候補がバッドエンドになったりする可能性があるんだもの!
なんとかして皆が幸せになれるハッピーエンドにしなければならない。
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