婚約者が隣国の王子殿下に夢中なので潔く身を引いたら病弱王女の婚約者に選ばれました。

ユウ

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151決着~ディァッカside②

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あの邸を取り押さえた後、直ぐに俺は王家御用達の病院に放り込まれた。
拷問の時に薬をかがされた事もあり精密検査を受けさせられ強制入院をされた時に思わぬ見舞い客が現れた。


「思ったより元気そうね」

「不服そうだな」

「本当にゴキブリ以上の生命力だ事」


本当にキツイ言い方しかしないな。
だが、今回は無理をし過ぎたのは確かだ。

生きて帰れるとは思っていない。


「ディアッカ、単刀直入に言うわ」

「何だよ」


「ニナの事好きでしょ?」

「は?」


真面目な表情で何を言うかと思えば。


「私を見くびり過ぎだわ。見ていれば解るもの」

「俺は‥」

「あの場所にニナが来た理由解るでしょ?結果的にリディア様の命令でとなったけど…その前から彼女は潜入するつもりだった」

「は?」

「呆けた顔をしないでくれる?解っているでしょ」


胸倉を乱暴に掴み睨みつける。

「アンタ解ってるんでしょ!ニナの気持ち!」

「さが俺は…」

「アンタの出生なんて気にしないわよ!何今さらな事言ってんのよ…あんな真似してまで追いかけて来た女なんてもうこの先現れないわよ」


「俺は…」

「手放す覚悟なんて、そんなの覚悟じゃない!」


俺の胸倉を掴む腕が震えていた。
俺は来る者拒まず、去る者問わずだったがベルモットに対しては真剣だった。

それでも手を離した。
この先危険な任務をこなす中、ベルモットの夢に邪魔になる。


だから俺は手を離した。


「私の時のように手を離す気?そんなのニナは喜ばない…アンタ、自分を苛め過ぎよ」

「だったらどうしろって言うんだよ」


今回の事でどれだけの人間を苦しめたか解っている。
だが、今後も危険な任務はつきまとうだろう。


「私はあの時後悔したわ。私はアンタが手を離した時に諦めた…でもニナは諦めなかった」

「ベルモット」

「自分の恋の為じゃない。アンタに生きて欲しいから…その思いに誠実になるべきだわ」


ニナの思い。
逃げて来た俺がちゃんと向き合わないといけない。


「その気がないならちゃんと言いなさい」

「ああ」

「じゃないとニナは前に進めない。私はアンタと過ごした時間を忘れない。前に進めたわ」


勧めていないのはむしろ俺の方か。
もしかしたら俺は死に逃げようとしていたのかもしれない。

失う事の辛さを。
もう一度覚悟を持つ為にも俺はニナの手を伸ばそう。


今度は俺の方から。


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