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150決着~ディアッカside①
しおりを挟むあの馬鹿シオンの所為で再び変な噂が流れた。
本当に勘弁してくれ。
今回の一件で俺は多忙だったんだ。
怪我をしているのに酷い仕打ちだぜ。
そん中、後始末もひと段落した頃だ。
普段なら見る姿が全く見ない事に気づいた。
いや、いるにはいる。
「おい、何してんだよ」
「は?何ですの」
「柱でコソコソしてんじゃねぇよ。あからさまに俺を避けやがって」
「別に避けていませんわ。別に…」
「おい、ちゃんと人の顔を見ろ」
普段ならギャアギャア騒ぐ癖に今日は大人しいな。
「んだよ。今日は騒がないのかよ」
「別にもういいですわ。貴方に何を言っても無駄だと思いまして」
「あ?」
何だよ、逆ギレの次は拗ねてんのかよ。
まぁ、あの時は勢いもあったかもしれねぇけどよ。
「んだよ。もう俺の事はいいのかよ」
「…貴方、本当に最低ね」
「その最低な男に告ったのは誰だ?しかもキスまで受け入れていただろ」
「この変態!」
やっぱりこれだな。
真っ赤になって怒る、叫ぶ、わめく。
これぞニナだな。
「これぞ日常」
「訳の解らない事を言わないでくださる!人の唇を奪って…まぁ、貴方にとって女性を泣き止まさせる手段だったでしょうし?私も気にしてませんわ」
「何だ、気にしてねぇのか」
「ええ、あの程度の事で」
「じゃあ、気にしてもらうか」
「は?」
俺は泣いている女が嫌いだ。
母親を思い出すから。
だが何とも思ってない女にキスをする程薄情なつもりはない。
仕事じゃないなら尚の事。
「何を!」
「もう一度思い出せよ」
癪だが俺は一度狙った獲物は逃がさないんでな。
俺にこんな思いをさせた以上は責任を取ってもらう。
「ひゃっ…」
「もっとするか?」
あの時以上に強引なキスをすると手が震えていた。
その手を取りキスをすると。
「へっ…変態!」
「ああ、悪いか?」
「悪いに決まってます!なっ…なんて事を」
「あんまり喧しいと入れるぜ」
「いれっ…」
完全に放心しているな。
「じゃあ行くか」
「きゃあ!何処に連れて行く気ですの!」
「まぁ、いいことをしに行くぜ」
「いやぁぁ!この変態!何をする気ですの」
ジタバタ暴れても女の力なんて何でもない。
「お前の気持ちもしっかり答えないとな」
「答えなくても結構です!」
「遠慮するなよ」
俺に真っ向から立ち向かいあんな場所まで来た女はいない。
突き放したのに追いかけて来る女もな。
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