165 / 169
149最後の始末
しおりを挟む
まさに生き地獄だ。
サンドラの両親は現在まだ貴族籍にいるが、今回の事で全ての地位は奪われる。
とは言っても既に地位などないのだが。
言って見れば崩落寸前の城を持っているに過ぎなかったが、無いよりもマシだ。
年齢もまだ若く、健康的な二人は今から娘の看護の全てを任され。
尚且つ刑務所の雑務をさせることになるが、ある意味では死んだ方がマシだろう。
食事も貧相で、外の世界を見ることができる事はない。
どんな生活が待っているか簡単に想像できるだろうが、世間から同情されることはない。
「仲良し家族ですもの」
最悪の余生だな。
「…というわけだ」
「本当に容赦が亡くなって来たな姫様」
「いい具合にあの腹黒皇太子…いや今は侯爵家に婿入りしたが」
「本当に恐ろしいな」
リディアが日に日に逞しくなる。
しかも質の悪いことにテレシア王女殿下とは異なり頭が良すぎる故にどうしたら自分の手を汚さず確実な方法で相手を殺せるか。
しかも敵に最大限の大劇を与えながら自分の打撃は最小限にする方法を熟知している。
「既にヴィッツ家の二人は拘束され逮捕状がつきつけられてるだろう」
「ああ、裁判するまでもない」
「弁護士はつかないだろうな…」
残った貴族派もすべて粛清された。
本当に後始末は大変であったが、これで全てが終わったというべきか。
「全て終わってないだろう」
「まだ何か…あ」
チャールズにサインを送られて気づく。
そうだったな。
目の前にいるこの罪作りな男をどうしてくれようか。
「何だよ。そんな目で見ても俺はお前の気持ちに応えられねぇぜ?」
「貴様は何処まで私を馬鹿にすれば気が済むのだ」
ここは一生変わらないな。
「何だシオン、そんなに俺が好きか」
ふとディアッカと視線が合い私は素直に思いを伝えた。
「ああ。好きだ」
「は?」
「俺はディアッカが好きだぞ」
今になって思い知る。
俺は本当に友人に恵まれていたな。
こんなにも頼りになる友を持てた事を幸福に思うよ。
あの時ディアッカが差し違えてでも役目を果たそうとしているの知って私は騎士としてあるまじき行為をした。
国の利益の為に常に感情を殺す。
それが騎士としての在り方だと士官学校で教わって来た。
それでもだ…
「俺はお前が好きだ」
「おい…」
「シオン、お前の真っすぐな所は嫌いではない。しかしな…」
ん?
二人は真っ青な表情をしている。
何故そんな表情を。
ゆっくりと後ろを振り向くと。
「失礼しましたぁぁぁ!」
「え?」
給仕係が急いでそのまま去って行く。
「シオン、とりあえずお前はもう少し場所を弁えろ」
「無理だろ」
二人が頭を抱えなにやら内緒話をしていた。
サンドラの両親は現在まだ貴族籍にいるが、今回の事で全ての地位は奪われる。
とは言っても既に地位などないのだが。
言って見れば崩落寸前の城を持っているに過ぎなかったが、無いよりもマシだ。
年齢もまだ若く、健康的な二人は今から娘の看護の全てを任され。
尚且つ刑務所の雑務をさせることになるが、ある意味では死んだ方がマシだろう。
食事も貧相で、外の世界を見ることができる事はない。
どんな生活が待っているか簡単に想像できるだろうが、世間から同情されることはない。
「仲良し家族ですもの」
最悪の余生だな。
「…というわけだ」
「本当に容赦が亡くなって来たな姫様」
「いい具合にあの腹黒皇太子…いや今は侯爵家に婿入りしたが」
「本当に恐ろしいな」
リディアが日に日に逞しくなる。
しかも質の悪いことにテレシア王女殿下とは異なり頭が良すぎる故にどうしたら自分の手を汚さず確実な方法で相手を殺せるか。
しかも敵に最大限の大劇を与えながら自分の打撃は最小限にする方法を熟知している。
「既にヴィッツ家の二人は拘束され逮捕状がつきつけられてるだろう」
「ああ、裁判するまでもない」
「弁護士はつかないだろうな…」
残った貴族派もすべて粛清された。
本当に後始末は大変であったが、これで全てが終わったというべきか。
「全て終わってないだろう」
「まだ何か…あ」
チャールズにサインを送られて気づく。
そうだったな。
目の前にいるこの罪作りな男をどうしてくれようか。
「何だよ。そんな目で見ても俺はお前の気持ちに応えられねぇぜ?」
「貴様は何処まで私を馬鹿にすれば気が済むのだ」
ここは一生変わらないな。
「何だシオン、そんなに俺が好きか」
ふとディアッカと視線が合い私は素直に思いを伝えた。
「ああ。好きだ」
「は?」
「俺はディアッカが好きだぞ」
今になって思い知る。
俺は本当に友人に恵まれていたな。
こんなにも頼りになる友を持てた事を幸福に思うよ。
あの時ディアッカが差し違えてでも役目を果たそうとしているの知って私は騎士としてあるまじき行為をした。
国の利益の為に常に感情を殺す。
それが騎士としての在り方だと士官学校で教わって来た。
それでもだ…
「俺はお前が好きだ」
「おい…」
「シオン、お前の真っすぐな所は嫌いではない。しかしな…」
ん?
二人は真っ青な表情をしている。
何故そんな表情を。
ゆっくりと後ろを振り向くと。
「失礼しましたぁぁぁ!」
「え?」
給仕係が急いでそのまま去って行く。
「シオン、とりあえずお前はもう少し場所を弁えろ」
「無理だろ」
二人が頭を抱えなにやら内緒話をしていた。
76
お気に入りに追加
5,998
あなたにおすすめの小説

わたくし、残念ながらその書類にはサインしておりませんの。
朝霧心惺
恋愛
「リリーシア・ソフィア・リーラー。冷酷卑劣な守銭奴女め、今この瞬間を持って俺は、貴様との婚約を破棄する!!」
テオドール・ライリッヒ・クロイツ侯爵令息に高らかと告げられた言葉に、リリーシアは純白の髪を靡かせ高圧的に微笑みながら首を傾げる。
「誰と誰の婚約ですって?」
「俺と!お前のだよ!!」
怒り心頭のテオドールに向け、リリーシアは真実を告げる。
「わたくし、残念ながらその書類にはサインしておりませんの」
勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。
八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。
パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。
攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。
ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。
一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。
これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。
※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。
※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。
※表紙はAIイラストを使用。
愛されない花嫁は初夜を一人で過ごす
リオール
恋愛
「俺はお前を妻と思わないし愛する事もない」
夫となったバジルはそう言って部屋を出て行った。妻となったアルビナは、初夜を一人で過ごすこととなる。
後に夫から聞かされた衝撃の事実。
アルビナは夫への復讐に、静かに心を燃やすのだった。
※シリアスです。
※ざまあが行き過ぎ・過剰だといったご意見を頂戴しております。年齢制限は設定しておりませんが、お読みになる場合は自己責任でお願い致します。
【完結】「君を愛することはない」と言われた公爵令嬢は思い出の夜を繰り返す
おのまとぺ
恋愛
「君を愛することはない!」
鳴り響く鐘の音の中で、三年の婚約期間の末に結ばれるはずだったマルクス様は高らかに宣言しました。隣には彼の義理の妹シシーがピッタリとくっついています。私は笑顔で「承知いたしました」と答え、ガラスの靴を脱ぎ捨てて、一目散に式場の扉へと走り出しました。
え?悲しくないのかですって?
そんなこと思うわけないじゃないですか。だって、私はこの三年間、一度たりとも彼を愛したことなどなかったのですから。私が本当に愛していたのはーーー
◇よくある婚約破棄
◇元サヤはないです
◇タグは増えたりします
◇薬物などの危険物が少し登場します
我慢するだけの日々はもう終わりにします
風見ゆうみ
恋愛
「レンウィル公爵も素敵だけれど、あなたの婚約者も素敵ね」伯爵の爵位を持つ父の後妻の連れ子であるロザンヌは、私、アリカ・ルージーの婚約者シーロンをうっとりとした目で見つめて言った――。
学園でのパーティーに出席した際、シーロンからパーティー会場の入口で「今日はロザンヌと出席するから、君は1人で中に入ってほしい」と言われた挙げ句、ロザンヌからは「あなたにはお似合いの相手を用意しておいた」と言われ、複数人の男子生徒にどこかへ連れ去られそうになってしまう。
そんな私を助けてくれたのは、ロザンヌが想いを寄せている相手、若き公爵ギルバート・レンウィルだった。
※本編完結しましたが、番外編を更新中です。
※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。
※独特の世界観です。
※中世〜近世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物など、その他諸々は現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっています。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。
辺境は独自路線で進みます! ~見下され搾取され続けるのは御免なので~
紫月 由良
恋愛
辺境に領地を持つマリエ・オリオール伯爵令嬢は、貴族学院の食堂で婚約者であるジョルジュ・ミラボーから婚約破棄をつきつけられた。二人の仲は険悪で修復不可能だったこともあり、マリエは快諾すると学院を早退して婚約者の家に向かい、その日のうちに婚約が破棄された。辺境=田舎者という風潮によって居心地が悪くなっていたため、これを機に学院を退学して領地に引き籠ることにした。
魔法契約によりオリオール伯爵家やフォートレル辺境伯家は国から離反できないが、関わり合いを最低限にして独自路線を歩むことに――。
※小説家になろう、カクヨムにも投稿しています
妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます
冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。
そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。
しかも相手は妹のレナ。
最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。
夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。
最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。
それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。
「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」
確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。
言われるがままに、隣国へ向かった私。
その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。
ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。
※ざまぁパートは第16話〜です
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる