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143誘惑と罠~サンドラside①
しおりを挟む今夜が最高の日になる。
相信じて疑わなかった。
今夜の為にお膳立てされた舞踏会。
シオンを別室に呼び酒で酔わせ、媚薬を使えばシオンは私の虜になると教えられた。
「この薬は強力です。わずかでいいでしょう…効果が薄ければ後から足せば」
「解ったわ。これでシオンは私に虜になるのよね」
「ええ、この媚薬は相当強力ですので。十分に使うのに気をつけてください瓶は処分してくださいね」
「解っているわ」
打ち合わせを思い出しながら私はこっそり笑う。
髪を染めて目の色も変えたわ。
これで解らないわ。
でも私の美貌で最後は解ってしまうけど仕方ないわ。
だってシオンはまだ私を忘れられないのだから。
でも、より強力にするために私は予め伝えられた量よりも多めに媚薬を体に付けた。
瓶は処分するように言われたけど保険をかける為に持っておくことにした。
これで完璧よ。
そんな中、扉が開き声がした。
「こちらにおりますので…」
「わかりました」
来たわねシオン。
だけどまだ私だと正体を明かせない。
私はエスカルダ家の縁のある貴族令嬢として振舞わなくてはならないのだから。
「これが話していた娘です」
「お初に目にかかりますサンディーでございます」
「では私は失礼します」
後は若い二人でとお決まりの台詞を残して去って行くルーアン。
外から鍵をかければ完璧だわ。
「シオン様…」
「サンディー嬢、灯を…」
「お止めになって!」
私は初心な娘の振りをしてそのままシオンの腕を掴む。
思った通りまだまだ女を知らない凡庸な男ね?
解っていたんだから。
あんなハズレ姫に男を誘惑する事などで気はしない。
私ならシオンを満足させられるわ。
私の体を使ってシオンを私の虜にしてあげるわ。
「シオン様、どうかこのまま…灯をつけないで私と」
「サンディー嬢、何を…」
「私にお任せください」
後ずさるシオンを見てにやりと笑う。
どうせ逃げる事は出来ないし、媚薬をつけた私が使づけば…
「この香りは」
「大丈夫ですわ。何も怯える事はございません。今から良い事をいたしますのよ…さぁこちらに」
そう言いながら迫ると媚薬の効果とあらかじめルーアンが仕組んだ薬。
そしてこの部屋に至る所に麻薬の効果のある高炉を用意してあるのだからそろそろ効果が表れるは。
足元がふらついているのを見てベッドに誘い出す。
「サンディー嬢!」
「私を見てください!」
これでシオンは私のものよ!
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