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141女の涙と怒りと後悔~ディアッカside
しおりを挟むもうどれだけ時間が過ぎたか解らない。
日差しも解らない、だが朝にはなってないというのは解る。
過信したつもりはなかった。
だが油断した俺は、巧妙な罠に捕まり薬をかがされそのまま牢屋にぶち込まれた。
だがここまでは想定内だ。
生きてこの邸を出られるとは思っていない。
血を流し過ぎて視界がぼやける中声が聞こえた。
ニナの声が聞こえるな…
それともう一人――。
「やっぱりここで布を」
「そうね」
視界がはっきりする中。
「は?」
「ディアッカ!しっかりなさい!」
「わぁぁぁ!」
ニナとベルモットが鬼の形相で襲い掛かるのを避けた。
「おぃぃ!殺す気か!」
「「生きていた…」」
こんな時だけ阿吽の呼吸を合わせるんじゃねぇよ。
「何でいるんだよ」
「それは私の台詞よ」
ニナが恐ろしい表情で関節を鳴らしていた。
隣にいるベルモットは鋏を取り出してチラつかせる。
「おい…何をする気だ」
「解っているでしょう?一発殴らせてくれる?」
「私も…」
一応俺は怪我人だぞ。
いや、それ以前に闇オークションの会場に何でいるんだよ。
「とりあえず」
「ごぼっ!」
口に薬草を放り込まれる。
マズくて酸っぱくて辛くて苦くて甘い!
「しっかり噛んで飲み込みなさい。即効性のある薬草よ」
「貴方、薬を飲まされて麻薬中毒寸前でしょう?急いで回復してくれる」
とか言いながら普通にヘアピンでピッキングをするベルモット。
「取れたわ」
「悪い…つーか何でお前達が」
「貴方が馬鹿な事をするんじゃないかと思って皆様が動いているのよ」
皆様だと?
「アンタ、どんだけ馬鹿なの!」
「ぐっ…俺は怪我人」
俺の胸倉を掴むニナに動けなかった。
そもそも何でこの二人が無傷でこの邸に入ることができたんだ?
「女を甘く見ないでくださる?ここに入れるように手配をしてくださったのはリディア様よ」
「は?」
「それからシオン様は今頃あのクソ男と一緒にいるわ」
「は?」
「チャールズ様も動かれている。この意味わかるでしょ」
俺は目の前が真っ黒になった。
あのクソ貴族の最終的な狙いはシオンを使ってこの国を乗っ取る事だった。
俺が捨て身の作戦に出たのを無意味にしたっていうのか?
「姫様を舐め過ぎよ…そして私達を」
「アンタ、自分の事を何だと思ってるのよ。私に生きる道を示した癖に…何で生きる事を諦めてんのよ!ふざけんじゃないわよ!」
殴られた頬の痛みよりも心が痛かった。
俺の大嫌いな女の涙を見せられ後悔をした。
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