婚約者が隣国の王子殿下に夢中なので潔く身を引いたら病弱王女の婚約者に選ばれました。

ユウ

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134貴族派の動きリディアside

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静まり返る空間にて、用意されたお茶に口をつける事はなかった。
そんな気分にもなれなかった。



「成程…」

ラインハルト様に私は悩みを打ち明けた。
ここ最近のシオン様の行動はおかし過ぎるけど、他も違和感があった。


あれだけの騒動を起こした貴族派は勢力が失われたはずなのに王宮内ではまたしても不穏な噂が流れている。


噂だけならばいい。
だけど貴族派の者達が未だに大きな顔をしている事に不信感を抱く。


立太子して日が浅いシオン様を認めないにしてもご機嫌取りの仕方が余りにもやり過ぎだった。

媚びを売るなんてレベルではない。


「本当に馬鹿は困りますね。身の程を弁えない」

「シオン様だけではありません。ディアッカ先生に関して良くない噂が」

「ああ、それは仕方ないでしょうね」

「え…」


仕方がないとはどういうことなのかしら?


「この度貴族派が大量粛清されたのはディアッカ殿が馬鹿な男達を誘惑して証拠を掴んだのですから」

「誘惑…」

「ええ、貴族の中にはそう言った趣味の者は少なくありませんし。彼はスラム街出身ですから生きる為に子供の頃から体を差し出す様に強いられたのでしょう。流石と言うべきか」

「流石なんて…」

「何を驚くのですか?彼は王妃陛下の直属の諜報員です。情報を聞き出し国の利益になるならば体を差し出し男と寝るなど当然ですよ…まさから知らないと?」


私は知らなかった。
ディアッカ先生がそんな事までさせられていたなんて。


「まだまだ抜け切れていませんね」

「えっ…」

「あの女が貴女を憎むのも解らなくありません。温室の外をまだ解ってない…おっと、これ以上はシオン殿に睨まれますね」


厳しい言葉だった。
だけどこの言葉は我が国の貴族になったからこそ。


「ちなみに先程の言葉は不敬罪になりますね」

「いいえ、問題ありません」


ラインハルト様は私が今のままではいけないと言ってくださっているようだった。


「でしたらお教えしましょう。シオン殿の考え、そしてディアッカ殿危うい立場を」


「はい…」


私はまだまだ知らない事が多すぎる。
王宮の外に出ても守られているだけだった。

だからこそ手段を選んでいる暇はない。
シオン様が苦しんでいる最中、できる事を探して動かなくては。


この際、対面を気にしている暇はないのだから。
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