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127不幸の最中~サンドラside①
しおりを挟むずっとお姫様になるのが夢だった。
だって私は誰よりも美しいのだから当然だわ。
なのにどうしてこんな事になるの?
「何で‥何で!」
貴族街から追放され、伯爵領地は没収。
ドレスも宝石もフカフカのベッドもない。
食事だって味の薄いスープとパンに肉は鶏肉だけ。
以前だったら牛肉やステーキにサラダとお菓子も好きなだけ食べられたわ。
靴だってこんなダサいものじゃない。
邸だって平民が住むような貧相な建物で侍女もおらずメイドが三人いるだけ。
「こんな生活耐えられない!」
テーブルに並ぶ食事がまずいと文句を言えばメイドたちが全てさげていく。
だけど別の料理を持ってくるでもなく水だけテーブルに置くだけだ。
「なんの真似よ」
「食べたくないとおおせですので私達でいただきます」
「じゃあ別のものを」
「ございません。ヴィッツ家には既に食料はございません」
「この食糧も王家からのお情けで支給されたもの。ですが食べられないならば水を飲んでお過ごしください。幸いにも庭に薬草やキノコがございます」
「…まぁ、毒キノコもございますのでお気をつけくださいませ」
ふざけるんじゃないわよ!
何で私がこんな目に合わないといけないのよ。
「待て、食べるから持って行くんじゃない。サンドラの分は私が食べる」
「お父様!なんて情けないの!プライドがないの!」
「黙れ!元はと言えば誰の所為だ。この疫病神の役立たずだ。離縁できないから仕方なく住まわせてやっているんだ!」
「貴方!なんて酷い‥」
「酷いだと?そもそもこうなったのはお前の教育が悪いからだろうが?こんな役に立たない娘、売り飛ばそうにも誰も買う気にはならん。私が商人であろうとも無償でも断る」
「酷いわお父様。どうしてそんな酷い事を」
私はこれ程不幸な目に合っていながら慰める事もしないで更に責めるなんて。
「大体お父様が甲斐性無しだからじゃない。伯爵から降格されても甲斐性があれば…」
「そうよ、結局できそこないだったのは貴方でしょう」
「働きもせずに邸でダラダラしているだけの貴様に言われたくないわ…ああ、何もできないのだったな?」
「何ですって!」
口を開けば互いに罵倒を浴びせる。
顔を見ても同じだった。
私はそんな二人を冷めた目で見るようになった。
誰かが助けてくれる。
私は悲劇のお姫様。
そうよ誰か助けてくれると鏡に言って聞かせた。
あの魔女のような性悪王女が何時か裁かれるのだと思っていたのだ。
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