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126友への思い
しおりを挟む去って行く二人を見て私は立ち尽くした。
聞く気はなかった、だけど聞いてしまったのだ。
「ディアッカ…」
ずっと支えてくれた友の思いを気づかないでいた私は大馬鹿だ。
常に先を見据えながらもどこか自分い容赦がないディアッカを不安に思う事があった。
「私は解っていなかったんだな」
誰もない中、私は囁く。
「ディアッカに頼りきった結果だ…気づけなかった私の落ち度だ」
過ぎた事を今言っても仕方ない。
だからこそ今動かなくては一生後悔する。
「シオン、いかがした」
「陛下…」
私はまだまだ見えないない。
一人では何もできないかもしれない。
だからこそできる限り精一杯の事を。
「陛下、私はやはり王の器がありません」
「シオン!それは…」
「考えが甘く、裏の裏を読むことはできません。器も小さい男です」
この手で守れるのはとても少ない。
砂のように零れて行くからこそ、今度こそ零れないようにしたい。
「器が小さいですが小さくともこれ以上零したくありません」
「ならば零す出ない」
「陛下…」
私の手をそっと握られる陛下。
「誰も最初から王の器があるはずが無かろう。私など他国では猫のような王とよばれておるのだからな」
「それは!」
「だがその分妻に恵まれておる。それにそなたはおるであろう」
「え?」
「そなたを支え守るとする優秀な人材が、私にはない最大の武器だ」
ディアッカやチャールズ。
リディアに兄上もいる。
「そなたが零したくないと言うなら行動せよ。正解等ありはしない。完璧な王など存在せぬ。そなたが守りと願うのは何だ」
「国を、民を…友を救いたいのです」
士官学校で私達は三人で誓いを立てた。
戦場に出ればいつか命を落とすのは解りきっていたが、それでも。
「ディアッカがすべてを背負うのを黙って見ている訳には行きません」
ずっと影で汚い仕事をこなしながら私を守ってくれていた。
やっぱり私は世間知らずだ。
「私は鬼になります」
「良いのか」
「ディアッカを失うのは国の損失です」
アイツほど頭の良い人間はいるだろうか。
他国にも情報を仕入れることができて、裏の社会とも精通する人間がどれだけいるだろうか。
スラム街で育ち、本当に困窮している民の思いを代弁できるのはディアッカだけだ。
アイツを失えばどれだけの損害を受ける。
いや、それだけじゃない。
「本当に国を考えている者が犠牲になっていはずはありません」
民を守る義務があるならばディアッカもその民の一人だ。
そして私にとって大事な友人なんだ。
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