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124大嫌いな貴方が好き~ニナside
しおりを挟む初めて会った時から大嫌いだった。
下品で、気品の欠片もない。
なのに頭の回転が速く、シオン様を誰よりも思っている。
ムカつくけどリディア様の事も理解していて。
なのに自分の事には容赦がない。
まるで死ぬことを望んでいるように見える。
そして今回の事だ。
きっとこの男はシオン様の為に無茶をする。
必要な事だと解っていてもはいそうですかと納得できない。
挙式を終えたあの日。
私はベルタンに言われた言葉がある。
「ニナ嬢、貴方あの男が好きなんでしょ?」
「は?」
「昔の私と同じ目をしてる」
ベルモットの表情が悲しそうだけどどこか優しげだった。
ディアッカと彼女は昔親しかったと聞く。
その中でどのような付き合いがあったかは知らない。
ただ胸が少し傷んだ。
口ではディアッカを毛嫌いをしていたけど本当は。
「あの男を留めるのは難しいわ」
「え?」
「私は無理だった…だからお願い」
私の手を強く掴みながら告げた言葉は。
「あの馬鹿を止めて」
「ベルモット?」
「私では無理だった。だけど貴女ならできる気がするの」
普段から自信たっぷりで何でも解った表情をしているディアッカに私は怒ってばかり。
私を揶揄って馬鹿にしているのディアッカを私に何ができるというのか。
「今あの男には止める人が必要なの…国を変える為に、腐敗しきった貴族を一掃する為なら彼は」
「だったら余計に!」
付き合いの長いベルモットの方がいいのに。
「私は何処まで言ってもお針子よ」
「でも‥」
「それに貴女は彼を…ディアッカを愛している」
「私は!」
苦笑するベルモットは大人の女性の表情をしていた。
「彼を繋ぎ止めて…」
切ない声だった。
ベルモットはまだディアッカを愛しているのだと解った。
でも…
やっぱり無理だわ。
「泣くことないだろ」
「この最低男!乙女心を少し学びなさいよ!」
やっぱり私には無理だわ。
どんなに声を張りあげても届かないかもしれない。
「どうしたら届くの…貴方の中に私達はいないの?」
「おい…」
「貴方がいなくなればなく人がいるわ…私だって」
こんな時シオン様だったらどうされる?
リディア様だったら?
ベルモットだったら?
「何で解らないのよ!貴方がいなくなったら…私は!」
本当は嫌いじゃない。
口が悪くて他人の神経を逆撫でするような言葉を言うけど。
でも本当は誰よりもシオン様を心配し命懸けて守ろうとしている。
挙式の時もそうだった。
ディアッカの全てを知らないけど、思いの一部を知った。
私はディアッカが好きなんだ。
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