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120友への思い
しおりを挟む事情が事情だけに私は婿養子の話を受けることにした。
ここまで手回しが良いならば母も兄上も関わっているだろうと考えた。
普通ならありえない。
しかし、私をあえて立太子させ王にさせるということは貴族派が本格的に動くつもりなのだろう。
もう貴族派に後はない。
だからこそ国を乗っ取るべく暗躍しているならば、狙われる可能性が高く。
テレシア様とはいえ、万一一人の時に狙われればどうなるか。
リディアだった場合なんて想像したくない。
対する私は騎士であり身を守る事や、毒に対する耐性がある。
そして薔薇の儀式をしている故に、他の女性に誘惑されても応じることはない。
何故ならあの儀式は互いに契約した者以外の異性と通じる事はない。
勿論麻薬や魔術などの洗脳も拒絶されると言われている。
ただ、古の魔女の妙薬は別だが。
他の女性と通じても体が拒絶反応を起こし、相手方の異性に恐ろしいことが起きる。
私も詳しくは知らないが…
ただ、私に簡単に手を出す馬鹿はいないだろう。
サンドラもこの期に及んで私に色目を使う理由がない。
「シオン俺だ、入るぞ」
「ディアッカ?」
「案外落ち込んでいなかったか」
私は入っていいと言っていないのに入って来るのがディアッカだ。
「落ち込んでいた方がいいか?」
「いや、お前の事だから何時までも引きずるよりもこ打開策を考えると思ってな」
流石と言うべきか本当に恐ろしい男だな。
何処まで先の先を呼んでいるんだろうか。
しかし対照的なのはチャールズだ。
「どうしたんだ」
「部屋で一人落ち込んでたから無理矢理連れて来た。これだから温室育ちは」
「ディアッカ…」
本当に無神経だな。
チャールズの性格上、罪悪感で苛奈まれても仕方ないだろう。
優しいからな。
義理堅い性格でもあるから私に申し訳なく思っているのだろうが。
チャールズが悪いんじゃない。
それに私になりに考えたが、中継であっても王となる事で私の願いを叶えることができるのではないかとも前向きに考えられるようになったのだから。
だからこそ言ってやりたい。
チャールズに気にしなくていいんのだと。
お前は悪くないと。
王命ならばチャールズにはどうする事も出来ない。
「シオン…」
誰よりも優しい友が責任を感じる必要はないのだから。
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