婚約者が隣国の王子殿下に夢中なので潔く身を引いたら病弱王女の婚約者に選ばれました。

ユウ

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119罪悪感~国王side

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妻と娘の暴走を止められなかった私はシオンに罪悪感を感じた。

しかし今の状況では国を守るのは難しい。
そしてヴィッツ家のしでかしたことが公になったので薬をもっと厳しく取り締まり、尚且つ国の法律を改正しなくてはならない。

以前から民の重税に反対していたが、貴族達が納得しなかった。
その為贅沢品の税率を上げて来た。


今年からは他の贅沢品も税率を上げることが叶った。
非力な王であるが、少しでも民の負担を減らし、尚且つ他国から援助して貰える事も叶った。


私は非力な王。
しかしそのおかげで他国からは警戒されなかった。


情けないがそれでも良いと思った。


「貴方、まだ落ち込んでいますの」

「罪悪感でいっぱいだ。シオンには申し訳ない事をした」

「今言っても…」

「私達の所為でシオンの夢を奪ったのだ」

妻は言葉を亡くした。
申し訳ないと思いながらも、自分の考えは変えぬだろ。


「気の毒でならぬ、幼き頃からの夢を潰したのだ」

「それは…」

「私達は地獄行だ。我らにあそこまで忠誠を誓ってくれたシオンにだまし討ちのような真似をしたのだからな」



妻も少しの罪悪感がある。
だが私程の罪悪感はないのは腐っても王妃で王族ゆえだ。


貴族も王族も国に尽くしてこそ。
そう言う考えが根強くあるからシオンも貴族ならば国に尽くして当然と言う考えがある。

だが情を持っているのも確か。


「私はできるだけ早くシオンを自由にしてやりたい」

「私も…」

「十年、二十年という長さではなくだ」


玉座の椅子は考えているよりも重い。
私は情けない王であるが、できる限りの事はして来たつもりだ。


「私にとってシオンは大事な息子であり、尽くしてくれた騎士だ」


「はい…」

「私達の業は深い。それ故に一生償うしかないのだ」

王妃にこんな決断をさせたのは私が非力故だ。
こんな酷い言い方をしてしまったが、シオンへの罪悪感を持ってほしかった。

それだけ酷い事をしてしまっているのだから。


「貴方、私は最低な真似をした自覚はありますのよ」

「うむ…」

「ですが、私はこの国の王妃として最低な事をしても国を守ります。シオンを犠牲にする形になっても…ですが、不幸になって欲しいとは思っておりません」

「解っている」


此度の決断は苦しみ悩んだ末だ。


「本来ならリディアを立太子させるのが正しい…」

「だが、最後の膿を炙り出す為であろう」


あの馬鹿共は、これで諦めるはずはない。
何処までもシオンを狙って来るだろう。

逆恨みをして同じ目に合わせようとするだろう。
だからこそ私は最後の掃除をしなくてはならないのだから。


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