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閑話1自称お姫様の悲劇~サンドラside③
しおりを挟むいずれ辺境伯爵家の財産は私のものになる。
そう思って我慢をしていたけど、その思いを裏切られた。
「跡継ぎにならない?どういうこと」
「兄がいるのに私が跡継ぎになること自体おかしいだろう」
カスメリア王国では長子が跡継ぎになるのが決まっている。
中には例外がるが、余程の理由がない限りは次男が跡継ぎになる事はない。
長男であるフランシスは体が弱く成人するまで生きられない。
今でも寝たきりで明日死んでもおかしくない程の虚弱体質だった。
「私は騎士となって身を立てる。騎士として他国に行けば兄の病を治す方法を見つけられる」
「馬鹿な事を言わないで!」
そんなことしたら私が婚約する意味がないじゃない。
万一でもフランシスが跡継ぎになったらシオンが引き継ぐ遺産は?
領地は?
騎士の妻なんて嫌よ!
「詐欺よ!そんなの聞いていない」
「兄がいるのに私が跡継ぎになることはまずないだろ」
「馬鹿を言わないで。社交界で誰もが言っているわよ!アルハルト家の長男はいつ死んでもおかしくないって…貴方は家を潰す気なの!今から考え直すべきよ…騎士なんて近衛騎士以外は貴族がなるものじゃないわ」
そうよ、貧しいい平民がなるものでしょ?
国の為に戦い死ぬのが仕事。
貴族がなるものじゃないわ。
「君は私の兄をそんな風に見ていたのか」
「何を怒っているの…どうせ助からないでしょ?」
私は心配してあげているのよ。
血のつがった兄弟と言っても跡目を争うのは変わりない。
片方が良い思いをする。
だったら死にぞこないの兄は潰して当主になればいいのよ。
「辺境伯爵様も、子供が産めない女なんて離縁すればいいのに」
「サンドラ・・」
「貴族が愛人を持たないなんて不道徳だわ」
恋愛と結婚は別。
余程妻に魅力があればの話だけど。
たいして美しくない。
なのに辺境伯爵様は愛人を作らない。
「浅はかにも程があるわ。まぁここが足りないのね」
「…今日は帰らせてもらう」
何を怒っているのか解らないわ。
折角私が親切でアドバイスしてあげているのに母親を悪く言われて怒ったのかしら?
まるで子供ね?
私がもっと教育してあげないとダメだわ。
「まったく、お嬢様とデートをキャンセルなんて」
「何様ですの?辺境伯爵とはいえ‥・所詮は田舎貴族にすぎませんわ」
「本当になんて無礼なのでしょう」
私の味方である侍女も私に賛同している。
やっぱり私は間違っていないのだわ。
そう、私は正しいのだから。
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