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閑話1自称悲劇のお姫様~サンドラside①
しおりを挟む私の名前はサンドラ・ヴィッツ。
名門貴族の一人娘として生まれ社交界の華と呼ばれていた。
物心つく前から私はお母様に誰よりも愛され大切にされる選ばれた存在だと言われて来た。
美しい私は誰からも愛され、いずれ女王になる。
伯爵令嬢である私だけど、私の美しさならば王太子妃になる事だって夢ではない。
だけど我が国は王女しかおらず国王陛下は王妃陛下意外に側室を持とうとしな事で私が王太子妃、女王になる事は難しかった。
だとしてもお母様は高位貴族に嫁げばよいと言われたけど。
侯爵以下なんて冗談じゃないわ。
公爵ぐらいでなくては釣り合わない。
そう私は誰よりも上に行かなくてはならないのだから。
そんな折私は生誕祭で素敵な王子様に出会った。
ラインハルト・エステリア殿下。
隣国の東帝国の皇太子殿下で、私よりも二つ年上だった。
とても美しい人で、私は直ぐに心惹かれた。
私に相応しい殿方は彼しかないわ。
周りにいる男は今一つだし。
だけど神様は美しい私に嫉妬して、意地悪な事をした。
「えっ…婚約?」
「そうよ、貴女にの婚約が決まったわ」
もしかしてラインハルト様が私を!
「お相手はシオン・アスハルト様よ。貴女の幼馴染の」
「え?」
「辺境伯爵家の次男だけど、身分的には申し分ないわ。長男は跡継ぎに慣れないし、北の領地は貴女の物になるわ」
何を言っているの?
私がシオンと婚約する?
私が辺境伯爵如きと婚約だなんて。
「お母様…本気で言っているの?」
「大飢饉の為に我が領地も困窮しているのよ」
その為にシオンと婚約しろと?
「でも…」
「心配しなくても良いわ。貴族の結婚なんて表向きだし…財産が手に入るのよ」
私はシオンなんかと婚約したくない。
別にシオンが嫌いなわけじゃない。
私の言う事は聞いてくれる。
でも私の望みを全て叶えてくれない。
だって私を一番優先してくれないのだから。
「これはもう決まった事よ」
私を一番に愛してくれない男。
地位も権力も富も誰よりも持っているわけじゃない。
なのに私は望まない婚約を強いられてしまった。
その日から私の悲劇は始まり籠の鳥のお姫様として過ごさなくてはならなくなった。
「可哀想なサンドラお嬢様」
「アスハルト家程度の家に…」
私が婚約を嫌がっている事を知った侍女は私を憐れみ。
同世代の友人も私を慰めてくれた。
そう、私は可哀想なお姫様。
だから何時か王子様が救い出してくれる日を願いながら耐え忍ぶ日々を過ごしたのだ。
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