婚約者が隣国の王子殿下に夢中なので潔く身を引いたら病弱王女の婚約者に選ばれました。

ユウ

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100全ての始まり

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披露宴は仕切り直しになり、大勢の人に見守られて祝われながら幸福な時間を過ごした。


「シオン殿、妹をお願いします」

「殿下…」

「まぁ、他人行儀です事」


そうは行ってもリディア様は降嫁する事になり、相手は第一王位継承権を持つ方だ。
堅苦しいのは嫌だと言われても仕方ない。


「まぁその硬さが貴方の良い所ではあるのだが」

「本当にブレない方」

ラインハルト殿下も一緒になって揶揄われてバツが悪かった。


「シオン、お前もいい加減緩くなれよ。でねぇと何時かチャールズみたいになるぞ」

「誰がだ!貴様、酒を飲んだな」

「おうよ。こんな日に飲まないで…ぶっ!」

背後からボトルが飛んで来た。


「あら、このボトル頑丈ね」

「でしたらこっちのボトルで殴って見てはいかが?」


ここにもっと厄介な酔っ払いがいた。
ニナとベルモット嬢は完全に出来上がっている。


「本当に非常識で不愉快な男だわ。その癖頭がいいと来た」

「本当に嫌味なぐらいね」


ディアッカを突きさす視線が怖かった。


「本当にむかつくわ。こんな男と一時でも付き合いがあった過去は黒歴史よ。過去をやり直せるならこの男を仕立ててやりたいわ」

「私も殺してやりたいわ」


ニナとベルモット嬢。
何時の間にこんなに仲良くなったんだ。

それに恐ろしい言葉が飛び通ったようだが…


「お前、いい加減に女癖の悪さを治せ」

「女に免疫がないお前に言われたくない」

「誰がだ!」

「俺はちゃんとセーブしているぜ?我慢し過ぎで無理強いするよりも紳士だろ?なんだったら今度仮面舞踏会に連れて行ってやるぜ?」

「いるか!」


今日がどういう日か解って行っているのか。
万一リディア様が興味を持ったらどうしてくれるんだ。

「仮面舞踏会?」

「そうですよ。楽しい場所です」

「私、今度行きたいですわ」

「ディアッカ…」


ああ、最悪だ。
やっぱり興味を持ってしまったじゃないか。


仮面舞踏会とは表向きは仮装パーティーであるが本当の目的は違う。

男女が遊ぶ場だ。
そんな危険な場に連れて行けるか!


「ディアッカ、これ以上は許さんぞ」

「だったら、これから励むんだな」

「ディアッカ!」


だからそんなことをこの場で言うんじゃない。


「シオン殿、そんな消極的では困りますわよ」

「はっ…はい」


だがこの時私は王家の思惑をまるで理解していなかった。

何故ここまで私に好意的なのか考えもしなかったのだ。


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