婚約者が隣国の王子殿下に夢中なので潔く身を引いたら病弱王女の婚約者に選ばれました。

ユウ

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99鋼の女王~王妃side

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全ての悪役は退場した。
でもこのままでいいはずはないわ。


「皆様、おめでたい日に申し訳ありません。宴を再開させていただきたく思います」


「おい、この状態で続行するのか」

「あら?当然ではありませんか」


かなり茶番劇が長くなったけど、記者達はリディアの聖女の演技をばっちり写真に収めているので明日の朝市で王都新聞の見開きは決定ね。


でも披露宴はちゃんと行わなくては。


「この状況で続行する王妃陛下は流石だな」


「流石我が国の女王」

「陛下の前で言いたくないが、我が国は王妃陛下で成り立っている」


私の賛美が聞こえるけど、聞かなかったことにするわ。
我が夫は決して悪い夫じゃないのだけど、腹黒さが足りない。

だから私がこんなにも逞しくなったわ。
女だからこそ強くないと生きていけない、女は男と違って自由に生きられない。


私達は頭を使って奪われないようにしなくてはならない。
真っ白なままでこの厳しい社交界を生き抜くのは無理なのだから。


「お母様…」

「何をしているのリディア、主役である貴女が仕切らないで」

「はい!」


馬鹿は後からゆっくり料理してあげるわ。

ええ、ここで牢獄に入れてはい終わりにはしないわ。
だってその程度じゃつまらないもの。

それに証拠としては甘い。
だからこそ彼等を最高の形で処刑しなくては許せないわ。


かつて我が国の中でとある貴族の女性が言っていた言葉がある。


慈悲とは時として惨いものだと。
死んで楽になりたい人間に慈悲と言って殺さず生かすのはある意味では殺されるよりも惨い。


だからこそ彼等を殺さない。
慈悲をかけたようにみせかけて私は彼等を最高の場で処刑するわ。

勿論殺さないわ。
でも、今のままじゃ踊り足りない。

だからこそこの段階で既に布石を投じてある。


「またあくどい事を考えているのではないか?」

「あら?嫌ですわ…ホホホ!」

美味しいワインを今は楽しまなくては。

「それにしてもここのお酒はどれも美味しいですわね。もう一杯くださる」

「相変わらずの酒豪だな」

「ええ」


夫は酒に強くない一方で私は酒に強い。
今まで酔いつぶれた事は一度もないのだから。


「料理も全て文句ないわ」

「ありがとうございます。こちらは美容にも良く、リディア様も好まれております」

「確かに美味しいわ」

ナッツを使ったお酒の当ては最高ね。
それにしても旅行先で美味しい物を沢山食べて心も癒されたのね。


「伯爵閣下、この料理は実にいいわ。本当にお肉を使ってませんの?」

「はい、大豆を利用しております」


正教皇国が参加する披露宴では肉を使わない料理。
魚をメインにしているけど、魚以外にも大豆を使った料理も振舞われている。


大変だってでしょうに彼等に敬意を持ってのこと。

流石だわ。


シオン殿…


やはりあの計画を進める必要があるわね。


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