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96罪の数々
しおりを挟む最初から解っていた。
罪を明らかにしても絶対に認めない。
だからこそ今回はこのような強引な手に出た。
物証が出てとして、証拠写真を突きつけてもサンドラは自分の罪を認めない。
違法的な毒を入手する事がどれだけの罪かも解ってない。
罪を突きつけても知らなかったのだから自分は悪くないと言うのは明らかだ。
知らなかったで済まない。
いや、知っていても嘘を言って逃れようとするだろう。
ならば、逃げられないようにする必要がいる。
「闇オークションは国内で禁じられている。闇市で薬を購入するのもな」
「シオン!これは…」
「大方、今までこの薬で男を無理矢理自分に好意を寄せさせたんだろう」
「違うわ!少し素直にさせてやったのよ…」
世界は自分中心に回っているとでも言いたげだな。
今まで自分の欲望の為にどれだけの人が苦しみ、傷ついて来たか知ろうともしない。
「醜い…何処までも醜い女だ」
「私は美しいのよ…きゃああ!」
ケネシーがサンドラの頭を掴み床に叩きつける。
「このクソ女が…いい加減にしろよ」
「無礼者!」
「どっちが無礼者だ。長年下僕のように扱ってくれたな…解るか?俺はケネシーだ。アンタに散々ゴミ扱いされた騎士だよ?」
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「ハッ、お前の命令を聞く義務はない」
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騎士服を変えただけで解らないとは何処まで腐っているんだ。
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一時の感情でこのような事は言わない。
「私が愛されないなんて…」
「愛されるとは何だ」
サンドラの言う愛されるとは自分の我儘を全て聞き入れることなのか?
愛とはそんなものじゃない。
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こんなの愛じゃない。
私は認めない!
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