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90いちゃつく両親
しおりを挟む貴族社会で恋愛結婚ははしたない。
だが、双方ともに利益があり、理を重んじた婚姻ならば問題はない。
正教皇国等では愛人を持つ貴族を否定する。
恋愛ではなくとも強い夫婦愛は結婚後の互いの努力で変わって来る。
「なんて素晴らしいのでしょう」
「理を守りながら夫婦愛を持つなんて」
そう言葉を放ったのは同盟国の聖職者だった。
他にも愛人を認めない国では夫婦愛こそ一番だという貴族もいる。
他にも妻を無くされた高位貴族。
「大体、あの噂はヴィッツ令嬢が不義を働いたのでは?」
「ええ、なのにシオン様は円満な婚約解消をして慰謝料も請求せずに社交界で彼女を守ったと」
「感謝しても良いのに、何ですのあの態度」
「貴族派はヴィッツ家の後見を務めていましたわね」
「ちょっと!止めてくださる」
穏健派の貴族派が睨みながら反論する。
「いくら同じ派閥だからってこんなのと一緒にしないでくださる?」
「そうよ、こんな非常識な人と」
「止めなさい。こんなおめでたい席で…王家の結婚式を壊すなんて」
私達に同情こそされても反感はなかった。
社交界では一部で私がサンドラ嬢を愛せなかった所為だという者はいたが、これで味方は固められた。
「私は母国の司祭ですが、シオン様程の礼節を重んじる方が不義をすること自体あり得ませんね」
「リディア王女もでしょう?心の中で人を思う事に罪がありましょうか?略奪愛だなんてとんどもありませんね」
略奪愛をしたとリディア様を責めようする事もできないだろう。
これもディアッカのシナリオ通りだが、これで終わるはずもないだろう。
「ふざけないで!私は…私は!」
「もう止めろサンドリア!」
「うるさいわよ!貴方だって、アルハルト家の財産を奪えると言ったじゃない!そうすれば私は…」
「止めろと言っているだろう!」
耐え切れなかったヴィッツ伯爵は妻を殴った。
公の場で夫が妻に暴力を振るう事はご法度だ。
隠れても論外だろうが、ここには聖職者がいるのだから。
「なんて野蛮な」
「めでたい日を汚し、最初から式をめちゃくちゃにするつもりだったのか」
王族派の貴族は貴族派を睨みつける。
こうなれば過激派で、普段からヴィッツ伯爵家と親しい大臣も非難されるだろう。
「まぁ、踊ってくれるな」
「ええ、本当に面白い程に踊ってくださるわ」
冷めた目で見るディアッカとニナ。
こんな時は本当に阿吽の呼吸がぴったりだった。
お似合いだと思う程に。
あの二人が本音半分だという事に仕掛け人である私達以外に気づくはずもない。
何故ならどんなに愚かでもこの場であんな行いをするなんて正気の沙汰ではないのだから。
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