婚約者が隣国の王子殿下に夢中なので潔く身を引いたら病弱王女の婚約者に選ばれました。

ユウ

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89踊り狂う親子

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サンドラ嬢の言葉に招待客の反応は軽蔑と怒りが込められていた。


「本当に何様なのシオン!何時からそんな偉くなったの」


「ヴィッツ伯爵夫人…」

「私の娘が復縁してやろうというのに。断るなんて何様なの!」


「お前まで何を!」


娘の暴走と一緒に母親も暴走している。
しかもこの会場内は声が響きわやるので耳が悪い老人でも良く通るしくみだ。


「貴女にそこまで言われる筋合いはありませんよ」

「まぁ、王家のハズレ姫と婚約していい気になっているのかしら?所詮婿にしかならない癖に。アスハルト家の出来損ないの癖に」


「兄に劣っているのは否定しませんよ。我が兄は賢者の君とも呼ばれる方です」

「馬鹿を言わないでくれる?死にぞこないで、運よく助かった所為で貴方は家から追い出されて…本当に騙されたわ!これならフランシスを婚約者にすれば良かったわ」

本性が出たな。
まぁ、当初から知っていたが。


「病気で死ねば、アスハルト家の財産が手に入り、あの邪魔な女を追い出せたのに」


その目は嫉妬に狂った悪魔の如くだった。


「私がエリー様の妻になるはずだったのに!」


「それころ勘違いでしょう?被害妄想が酷いわね」


静観していた母上が冷たい表情見据える。



「勘違いですって?」

「貴族の婚姻は政略、色恋よりも利益をつい供されるのに、心は乙女のままなのかしら?」

「何ですって!」


「でも、ここまで来たら頭のネジを緩めてしまったと思われますわね」


母上、笑顔でとんでもないことを言うな。
しかし、ここで問題となっているのは父上なのだが。


「ヴィッツ伯爵夫人、貴女と私は貴族院が同じと言う以外に接点はないはずなんだが」

「は?」

「…ですって?」


父上、私も人の事を言えた義理ではないが空気を読まなさすぎだろ。


「そんなはず…」

「第一、何故私と貴女が?天地がひっくり返ってもないだろう」

「天地が…」


酷い。
さらりと恐ろしい事を言ってのけたな。


「これだから天然は」

「ああ、ディアッカ。私も同感だ」

チャールズまでディアッカに賛同して手を顔を覆っていた。


「それに私と妻は政略結婚であるが、婚約を望んだのは私だ」


「貴方…」

「私が妻に触れて政略結婚を理由に受け入れた。本来なら身分的には不釣り合いだったはずだ」


「いいえ、貴方。私達はお似合いですわよ」

「そうか」


一応今日は私の結婚式なのだかがな…

両親のいちゃつき加減が半端ない。


そして放置されたヴィッツ伯爵夫人は完全に無視だな。


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