婚約者が隣国の王子殿下に夢中なので潔く身を引いたら病弱王女の婚約者に選ばれました。

ユウ

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85余興

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真っ青な表情に服は海藻まみれの集団。
正直、披露宴会場には似つかわしくないが、母上に視線を送るをクスクス笑っている。


「あのまま泳いできたのかしらね?」

「その神経の分厚さには驚かされるな」


兄上まで。
もしや海難事故い見せかけて海王類をおびき寄せたのか?


「おかーさま、メデューサがいるよ」

「ほんとだきちゃない!」


他国の王族である幼き王子と王女が指さしていた。

「これが余興かしら?それにしても随分と醜い魔女ね」

「あそこまで不細工な女優も珍しいものだ」

事情を知らない貴賓の方々は演劇か余興の何かと思っているのだろう。


「しかし臭いな。何だこの香水は」

「あの真っ赤なドレス。どう見ても悪趣味ね?海の魔女はあんなに下品なのか?」


サンドラ嬢のドレスはどう見ても悪趣味だった。
レースを無駄に使っているが海水で色は落ちている。

髪も美しく巻いたつもりだろうか、海水に濡れた所為でまさしくメデューサだ。


「どういうことだ!」

「こんな披露宴だなんて」

「騙したのか!」


他の貴族派の連中も披露宴の豪華絢爛さに驚いていた。


「何だ?この祝いの席に品の無い恰好を」

「余興の女優はともかく…君達は大臣だろう」

貴族派の中には大臣も複数いる。
高位な立場にありながら挙式に遅刻しただけでなく披露宴に相応しくない恰好で暴言を吐けば不快に思うのは当然だ。


「大臣、どうなさいましたその恰好は」

「どうなさいましただと?」

「船の時間はお伝えしておきましたが、いらっしゃらないので欠席かと」

「身内だけの小さな結婚式だと言いながら騙したのか」


騙していないし、小さな結婚式なのは嘘じゃない。


「おやおや、異なことを」

「兄上…」

私を庇う様に兄上が前に立つ。

「これでも規模は小さいのですよ?船の上での小さな披露宴で挙式は島で行いましたし」

「しかし…」

「他国の貴賓の皆様には予定通り船でお迎えをしましたし。ちゃんと船でお越しくださいとお伝えしました」


ただし時間が過ぎても別の船があるとも記入されているが、倍の時間がかかるのだが。
ちゃんと招待状の注意書きを見ないで、しかも彼等は失態を犯した。


似たようなシンボルの船を乗って遠回ししてしまった挙句事故にあったのだ。


「大臣よ、本日の公務は休みにしていたはずだ。なのに何故同じ船に乗らなかった」

「それは…」

「大事な用事があったのでしょうね?我が娘の挙式よりも」

冷たく言い放つ王妃陛下に怯んだのを見逃さなかった。

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