婚約者が隣国の王子殿下に夢中なので潔く身を引いたら病弱王女の婚約者に選ばれました。

ユウ

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82国民を味方に

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私とチャールズはいい意味でも悪い意味でも国の闇の底を知らない。
頭では解っているつもりであるが、本当の意味で身を持って理解しているのはディアッカだけだった。


「ここからは歴史の裏側をお教えします」


「ディアッカ…」

「ニナ。勉強中は口を挟まないで。私は生まれ変わるわ」


リディア様はやる気になっており誰にも留められない。


「姫様、この国を動かしているは誰かご存じですか」

「それは官僚…かしら?」

「当たらずしも外れてはおりません」


正確に言うと大臣や貴族や官僚を補佐する者達。


「そして表に出ない事を良い事にやりたい放題することもできる。よくあるでしょう?良きに計らえという言葉」


「えっ…ええ」

「まぁ、我が国は王妃陛下が目を光らせているのでマシですがすべてを把握できないので補佐が把握する。それがとても危険な行為です」


「はっ…はい」


リディア様の表情が少し青ざめている。


「社交界も似たような者です。己の手を汚さず下の者に事を動かせる。決して自分の手を汚さない。被害者の振りをしながら実は加害者と言う事も少なくない」

「それが現実なのですね」

「この世の中はずる賢く回った人間が生き残ります。姫様は危機管理がシオンよりも強い。だからこれまで生きてこられたはずです」

「おい…」

「お前、何度も騙されて殺されそうになったか解るか?悪女サンドラがお前の財産を欲しくて事故に見せかけ殺そうとした事は一度や二度じゃねぇんだよ」


そんなに命を狙われていたのか。

「俺が裏で手を回したんだよ。後はテネシーも動いていたんだよ」

「テネシーが…」


私は部下に恵まれたな。


「姫様、こいつはこういう男です。爪が甘いのです」

「はい」

「ですから姫様が今後は手綱を掴むためにも世界三大悪女について学んでいただきます。ただし彼女達は社交界で悪女と言われながらも国民には聖女と呼ばれています」


「それは見せ方が上手と?」

「そうです。国民に対しては聖女見えるように演技をし、貴族達の敵になりながらも国民を抱き込んだのです。いくら権力があろうとも国民に革命を起こされればどうなるか」


確かに騎士の半分は平民であるから。
民だけでは勝てなくとも騎士が味方をすればどうなるか解らない。


いや、確実に敗北するだろう。


「いいですか姫様、悪女に見せて馬鹿共を翻弄するんです。ただし国民の前では聖女として振る舞い。そして一番重要なのは聖職者です」


ディアッカ…正教公国を味方につける気か!


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