婚約者が隣国の王子殿下に夢中なので潔く身を引いたら病弱王女の婚約者に選ばれました。

ユウ

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76心の師匠~リディアside

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「お師匠様と呼ばせてくださいませ!」


ディアッカ様はなんて聡明なのでしょう。
深く考えれば解るのに私はそこまで考えが及ばなかったわ!


「姫様…」


「リディア様」


そうよ。
私自身が変わらなくては意味がないわ。

少し前向きになっただけでは彼女に勝てないわ。
名実ともにシオン様の相応しい奥様になって皆に認めさせる必要がある。


「お師匠様、どうかご教授くださいませ」

「そうこないとな」

「ディアッカ!」

思えば初めて会った時からディアッカ先生のアドバイスは的確だったわ。


「私もディアッカ先生のようになりたいですわ」


「「「ならないでください」」」

「え?」


何故か三人そろって土下座をされてしまうのはどうして?


「それで私はどうしたら…」

「まずはイメージ戦略と、馬鹿女を踏み台にして本物の聖女と他国にもアピールすればいいんですよ。既に堕ちる所まで堕ちているんですからね?」


「貴方、本当に最低ね」

「同情する気はまったくないけど、あの女が少し哀れに思えてしまうわね」


ニナとベルモット嬢が頭を押さえている。
さっきまであんなに元気だったのに体調が悪いのかしら?


「それで、まずはどうするんだ」

「ここから姫様に聖女の役目を果してもらうんだよ。表向きだが…」

「表向き…とは?」


私自身が何かするわけではないの?
それではこれまでと一緒ではないのかしら?


「姫様、聖女ってのは美しくて優しければいいわけじゃないんですよ」

「え?」


「優しいだけ、美しいなんて架空の世界。おとぎ話ですよ…実際伝説の聖女様は戦場に赴いています。か弱く慈悲の塊の乙女がそんな真似できますかね?大人しく祈るだけなんてありえません」

「えっと…歴代の中にはいましたわね」

女性ながら自身も武器を持ち、弓矢を持って戦ったと聞くわ。


「ですから聖女とは国民にとっては慈悲の象徴であればよい。肝心なのは周りにそう思わせ、尚且つ上手く立ち回る事が必要です」

「それは…羊の皮を被った狼ですか?」

子供の童話にある話だ。
とある羊が狼の群れに入って、雌狼をあらゆる手を使って叩き潰す物語。
狼は牙も爪も体格も良いのだけど主人公の羊は狼を利用して最後は羊の山から追い出してしまうのだ。



「姫様には底意地の悪い女になっていただきます」

「ディアッカ!お前…」

「シオンは黙ってろ」


ディアッカ先生は私にその気があるかどうかを問うた。


「このままお姫様として温室にいるか、綺麗でいるのを捨てて戦うか」


答えなんて決まっている。


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