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72女傑と呼ばれた女~ケイシス③
しおりを挟む結婚と恋愛は別と考えられるようになったのは今から百年前。
人生には潤いが必要と考えたとある貴族が社交界に恋こそ人生の潤いだと言い始めた。
平民とは異なり私達貴族は結婚相手を選べない故に、女性側も夫以外に愛人を持つ事を認めるべきだと言い始めたのだ。
教会で真実の愛を誓いながらも矛盾している。
先代国王は世継ぎ問題があると正当な理由を掲げたながらも自分の性欲を満たす為に愛人を置いた。
その為その代の王が崩御した当代の愛人、公妾は追放される。
何時でも犠牲になるのは女性側。
自ら望んで愛人になったわけではなく親の命令で無理矢理な形に愛人にされた彼女達。
なのに死に際に懺悔と言ってエゴイストにも程があるわ。
だけどその歪んだ考えを受け入れて当たり前になっている彼女達には同情はできないけど哀れだと思うわ。
「私の祖国では、妻以外を愛人に迎える習慣が無かったので…皆様の物わかりの良さには感服しますわ。私の父も母以外を愛した事がないのです」
「いい加減この国の決まりを学んだらどうかしら」
「ええ、そうですわね。ですか王妃陛下からは妻として貞婦であるべきだともおおせられまして」
「なっ…」
「我が家が少し特殊なのかしら?夫は私以外の女性にまったく興味がなくて…昨日も」
「こっ、こんな場で!」
「なんてはしたない」
こっそり首元を見せると真っ赤になって怒る彼女達。
既に夫から女として見られる事は全くないのだから屈辱よね?
悔しいわね?
「夫の血をそのまま受け継いでますので、シオンはリディア様に操を捧げておりますの。国王陛下にはご理解いただき、先日薔薇の儀式を行いましたの」
「薔薇の儀式ですって…」
「なんて酷い事を!」
「ケイシス様、貴女は母親としてありえませんわよ」
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そう言いながら私は腕を捲って見せたのは入れ墨だった。
「それは薔薇の儀式の…」
「私も主人と永遠の操を誓わされてますの」
「あっ…ああ」
ガタガタと震える彼女達。
知らなかったのだから仕方がない。
「ご気分が優れないようですが大丈夫ですか?」
「失礼します」
「ごきげんよう!」
一人また一人と去って行く。
彼女達のプライドをズタズタにしてやったわ。
この後邸で暴れるのもよし、夫婦喧嘩をするのもよしだわ。
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