婚約者が隣国の王子殿下に夢中なので潔く身を引いたら病弱王女の婚約者に選ばれました。

ユウ

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67真珠

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絹が手に入らず、公に姿を見せなくなったリディア様を邪推する貴族達は勝手に間違った解釈を始めた。


病気が悪化し、社交界で好き勝手噂を流す人間が現れる中。
私は自分の領地にて準備を進めた。


その準備とは、海には海王類が現れるという噂だ。
王都の貴族は鯨等を凶悪な存在と考えており領地内で鯨が出没する噂を流した。


他にも最近は海で海難事故があると噂を流し、海を嫌う貴族の耳にいい感じに入っていた。


結婚式を上げるのは初夏。
しかも日差しが強く我が領地は西側は灼熱の炎のような暑さだ。
普通の船では日差しを直接受ける。


女性にとっては大敵だろう。
それにギリギリまで結婚式の事は話さずにいれば真面な船員を用意できない。


二か月前。
水軍ギルドが不足している時期を狙う。

真面な船も、すぐには用意できない。


「船に関しては止めることができますが…こんな大掛かりな」


「大丈夫です」


リディア様には絶対に手を出させることはない。
ただこの作戦中にサンドラ嬢が何かしないか心配だ。

故に私はリディア様の傍を離れないようにしなくては。


でも今は――。


「それでドレスなのですが…どのようなデザインがよろしいでしょうか」

「え?」

「私はセンスがあまり良くないので貴女に選んでいただこうと思いまして」


今はリディア様の喜ぶ顔を見たい。
結婚式の妨害を受けて悲しまれているかもしれない。


「あの…」

「はい?」

「シオン様はどのようなデザインがお好みですか」

「リディア様なら何でも似合う…」


ふと視線を感じた。


ニナが睨んでいる。
背後にも感じる視線。


「私は女性のファッションセンスは解りませんが…よろしいですか」

「はい、是非お聞かせください」


何でもに合うというのはいけないのか。


しかし私の希望を言うよりも結婚式は女性側が主役と聞いているのだがな。



「その…こちらのデザインなどが好ましいかと。百合をイメージしております」


百合の刺繍がされており、銀刺繍をあしらってある。
生地に繭を使っている素材だ。


「まぁ…素敵」

「髪飾りは真珠を使っております。リディア様にはどの宝石よりも真珠の方がお似合いかと」


ダイヤモンドやルビーにサファイアが王都では好まれている。


だが海の宝石と呼ばれる真珠は女性をもっとも輝かせるとも言われている。


「真珠…ですか」

「リディア様に一番似合うのは真珠だと」


これは私の勝手な思いだ。




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