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王族の結婚式は国民にもお披露目をするのが常だが例外も存在する。
過去に体が弱い王女や、継承権を返上したり妾腹だった王女等も身内だけの結婚式を行っていた。
その代わりに披露宴を大々的に行ったりしていたが、王妃陛下は私達の結婚式を身内で行う事で貴族派の参加を避けようと考えている。
「本来なら貴族派も参加を避けたいけどそれは難しいわ」
「ならば王家の結婚式と言う考えを捨ててはいかがでしょう」
「え?」
リディア様は公に姿を見せていない。
知っている人間は知ってるが病弱で短命だと既に社交界では噂になっている。
その噂を利用すればよい。
「ディアッカ、頼めるか」
「噂を流すなら俺の十八番だ」
「騙すのはお前の得意分野だ。だったら少しばかり動いて欲しい」
悲しい事に他人を騙す事に関してはこの男の右に出る者はいない。
「貴族派を騙し、当日の挙式に参加する人数を減らしたい」
「成程、考えたな」
「尚且つ、未だにリディア様に対する噂がある。ならばくだらない噂に翻弄される馬鹿を利用する」
依然の私だったらリディア様の噂を利用するなんて真似をしなかった。
正当法で行くところだが、綺麗事だけではどうにもならない事を知ったのだから。
「ご無礼を承知で、お許しくださいますでしょうか」
「詫びる必要はありません。むしろ見直しましたわ」
「王妃陛下…」
「娘を守る為にここまで覚悟を決めてくださったのならば私は出来る限りの事を協力するわ」
「ありがとうございます」
王妃陛下が協力してくださるならばこれ以上心強い味方はいない。
「挙式の場所を変更?」
「はい、挙式を私の領地で行おうと思います」
「えっ…あの領地で」
挙式は我が国でも伝統的な神殿がある場で。
挙式は領地で行う形に取れば、宮廷貴族は参加しないだろう。
特に船旅に慣れていない貴族。
他にも海を越えなくてはならず陸路からではこの時期害虫が出る事が多いので嫌がるだろう。
船を出したとしても、貴族の大半は大きな船を持っていない。
以前にも海賊の被害を受けた商人も多いので参加を遠慮したくなるだろう。
「王族の結婚式にしては質素になるでしょうが披露宴は船の上で行い、招待客には我が領地で海の旅を満喫していただく予定です」
「ですが内々の結婚式でも同盟国の貴賓を招待しないとなると…」
問題はそこだった。
貴族派の連中はともかく外交問題にならないようにしなくてはならないのだが…
「お忘れですか?隣国は我が領地を通らなくてはならないという事を」
「あっ!」
そう、隣国から私の領地は近い。
しかも特別ルートがあるのである意味では王都より近く、何より以前から我が領地の船に興味を示している国は少なくない。
これ以上の条件はない。
過去に体が弱い王女や、継承権を返上したり妾腹だった王女等も身内だけの結婚式を行っていた。
その代わりに披露宴を大々的に行ったりしていたが、王妃陛下は私達の結婚式を身内で行う事で貴族派の参加を避けようと考えている。
「本来なら貴族派も参加を避けたいけどそれは難しいわ」
「ならば王家の結婚式と言う考えを捨ててはいかがでしょう」
「え?」
リディア様は公に姿を見せていない。
知っている人間は知ってるが病弱で短命だと既に社交界では噂になっている。
その噂を利用すればよい。
「ディアッカ、頼めるか」
「噂を流すなら俺の十八番だ」
「騙すのはお前の得意分野だ。だったら少しばかり動いて欲しい」
悲しい事に他人を騙す事に関してはこの男の右に出る者はいない。
「貴族派を騙し、当日の挙式に参加する人数を減らしたい」
「成程、考えたな」
「尚且つ、未だにリディア様に対する噂がある。ならばくだらない噂に翻弄される馬鹿を利用する」
依然の私だったらリディア様の噂を利用するなんて真似をしなかった。
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「詫びる必要はありません。むしろ見直しましたわ」
「王妃陛下…」
「娘を守る為にここまで覚悟を決めてくださったのならば私は出来る限りの事を協力するわ」
「ありがとうございます」
王妃陛下が協力してくださるならばこれ以上心強い味方はいない。
「挙式の場所を変更?」
「はい、挙式を私の領地で行おうと思います」
「えっ…あの領地で」
挙式は我が国でも伝統的な神殿がある場で。
挙式は領地で行う形に取れば、宮廷貴族は参加しないだろう。
特に船旅に慣れていない貴族。
他にも海を越えなくてはならず陸路からではこの時期害虫が出る事が多いので嫌がるだろう。
船を出したとしても、貴族の大半は大きな船を持っていない。
以前にも海賊の被害を受けた商人も多いので参加を遠慮したくなるだろう。
「王族の結婚式にしては質素になるでしょうが披露宴は船の上で行い、招待客には我が領地で海の旅を満喫していただく予定です」
「ですが内々の結婚式でも同盟国の貴賓を招待しないとなると…」
問題はそこだった。
貴族派の連中はともかく外交問題にならないようにしなくてはならないのだが…
「お忘れですか?隣国は我が領地を通らなくてはならないという事を」
「あっ!」
そう、隣国から私の領地は近い。
しかも特別ルートがあるのである意味では王都より近く、何より以前から我が領地の船に興味を示している国は少なくない。
これ以上の条件はない。
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