婚約者が隣国の王子殿下に夢中なので潔く身を引いたら病弱王女の婚約者に選ばれました。

ユウ

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62お願いと脅迫

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「挙式を早める?」


その日、邸にて王宮からの使いにより王族の別邸に呼ばれた。
王女宮とは異なり王妃陛下がプライベートに使う別邸で国王ですら許可がないと入れなかった。



何故このタイミングと思ったが、まさかリディア様に何かあったのか?


「急に呼び出してごめんなさいね」

「いえ…」

「失礼かと思うけど挨拶は結構」

挨拶も無しとは余程リディア様の体調が悪いのか?


「貴方にお願いがありまして」

「はい、なんなりと」

「言いましたわね?」

「え?」

王妃陛下の目が怪しく光った。

「ディアッカ」

「はい、証言はばっちりです」


「ディアッカ!」


床から現れるディアッカに驚くが。


「何でそんな場所から」

「諜報員の嗜みだ」


いや、何処の世界に王妃陛下の別邸の床から現れるんだ?
普通は天井だろうが。



「細かい事を気にするな。チャールズじゃあるまいし」

「いや、チャールズが聞いたら怒るぞ」

普段から細かい事を気にするが風紀を重視しているだけに過ぎないのだから。
規律を破ったら秩序を守れないのだから。


「本題に入るわよ」

「はっ…はい。失礼しました」


リディア様は大丈夫なのだろうか。

不安が襲う中。


「リディアと早々に挙式を上げてくださる?」

「はい?」

「言葉通りですわ。別に明日に挙式なんて無茶はいいませんわ。そうね?三か月後に」



いきなり何を言われるのか。
三か月後ってどういう事だろうか。


「急遽、貴方達の結婚式を急がなくてはなりません」

「まさか…」

リディア様の病が悪化したのか?
主治医は良好だと言っていたし体内の毒は既に完全に抜けている。

薔薇の儀式により私と血を通わす事で呪いも消ええいると教皇猊下もおっしゃったではないか。


「何故…」

「馬鹿が動く前に先手を」

「え?」


馬鹿が動く?
リディア様の病気が悪化したのではなく?


「王妃陛下、シオンは勘違いをしています」

「そうみたいね?リディアは大事ないわ。血液に入れれた毒は既に全てなくなっているし。王家に伝わる呪いは薔薇の儀式で守られているわ」


「そう…ですか」

「ええ、だから早々にリディアと結婚して正式な夫婦になって欲しいの」


言っている事が突拍子ないんだが。

「なんでもすると言ったわね?」

「えっ…」

「証言もあるぞ」


音声録音機を見せられ冷や汗を流す。
これは脅迫じゃないか!



「シオン殿、お願いしますね」


お願いと脅迫がセットにされてしまった私は断る事もできなかったがまずは理由を詳しく話して欲しいんだが。


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