婚約者が隣国の王子殿下に夢中なので潔く身を引いたら病弱王女の婚約者に選ばれました。

ユウ

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54さらに一難

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噂とはいい加減な物だった。
だが、その噂に信憑性があるかないかで変わる。


私とリディア様のロマンスは半分は大袈裟に書かれているがあながち間違いではない。



間違いではないが、今度は私達の事が美談として語らた後に小説にされた。


「どうして私達の事が…」

「今度は劇のネタになるぞ。名前は違うがどう考えてもお前達だよな」


「タイトルは鋼の聖騎士と銀の乙女」

「内容からして言うまでもないよな」


誰かなんてもう聞く気はないが恥ずかしくて外を歩けない。


…が。


「シオン!お前も随分と出世したな」

「将軍…」

「お前とリディア様の事が劇になるらしいな!私も微力ながらビラを作って同盟国にばらまいておいたぞ!ガハハハ!」


「何しているんですか!」


バラまく必要はあるか?
それ以前に何で将軍がビラを作っているんだ。


「来週に両陛下とテレシア様もご一緒に観劇だ」

「止めてください」

「もう遅いぞ。活動写真も限定で売られるからな。先行予約で既に購入済みだ」


最近姿を見ないと思ったらそんなことをしていたのか。
頼むから暇つぶしでそんな真似をしないでくれ。


「それからお前達の薔薇の儀式の写真なんだが」

「は?写真…」


何で儀式の写真が。


「こっそりディアッカに撮影させたのだ!」

「ディアッカ…」


私に黙ってそんな真似をしていたのか!


「仕方ねぇだろ?俺は身分が低いから権力者の言いなりにならないとダメだからな」

「貴様、そんなことを言いながら王妃陛下に交渉したのではなかろうな?」

「解る?上手い酒と可愛い侍女と酒盛りを頼んだんだよ」


酒と侍女に私を売ったのか。
恨むぞディアッカ。


「まぁ、悪い事をするわけじゃねぇし…いんじゃね?」

「良くない!こんな事が家族にバレたら」


特に母上と兄上にバレたらどんな事になるか。


「ああ、言い忘れていたな」

「何ですか…」


精神的に打撃を受けている私だがこれ以上酷くなることはないだろう。


そう思っていたのだが…


「劇の演出家はお前の母で、演出は兄だぞ」

「ああ…」

「シオン!しっかりしろ!」


ああ、母上と兄上が恐ろしい事を。


「気をしっかり持て」

「頭が痛い」


大体劇場側も何で協力をしたんだ?
どうせ流行らないと思っていたのだが、劇は私の予想に反して大反響だった。


そして劇は老若男女に大人気となるのだが、見る人によっては誰がモデルにされているか気づき…


「何よこれ!信じられない」

「なんたる侮辱なの!」


言うまでも無くサンドラ嬢とヴィッツ伯爵夫人が我が家にクレームの手紙を出したのだった。


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