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閑話6ヴィッツ伯爵家③
しおりを挟む無欲なシオンは第二騎士団の団長になっても生活スタイルは変わらず質素な生活を望んだ。
権力を悪戯に使う事は騎士道に反していた。
デザイアは自分に都合の良い様に騎士団を動かそうにも一々反論するシオンが邪魔で仕方なく。
「今度の予算で騎士団の入るはずの金を地方に寄付するなど!」
「貧しい地方の騎士には援助が必要です。昨年よりも予算が余っているならば猶の事です」
「だからと言って…」
予算を横流ししている貴族は少なくない。
その中の一人がヴィッツ伯爵家だった。
シオンが伯爵位を賜り、金銭的に余裕が出たので援助を望むも。
「寄付を増やしただと!」
「部下が病にかかりました。副官の母君も足腰が悪いので」
デザイアの予想を超えて、功績を上げても褒美は部下や貧しい民に援助していた。
領地を賜れても断るなど、デザイアをイラつかせてた。
「シオン、君は経済観念がないのか!それではサンドラを幸せにできないぞ」
「私は貴族である前に騎士です。食べて行くだけの収入はあります」
「何だと…では将来領地や爵位を賜る気はないと」
「はい」
デザイアはこの時からシオンに見切りをつけていた。
婚約解消はしないで婚約は維持した。
その理由はこちら側から婚約破棄をしたら外聞が悪く慰謝料を支払わなくてはならない。
それに婚約して利益はある。
アスハルト家からの援助は続いている。
騎士団を利用する事もできる詩他国との繋がりを作ることができるのだ。
そんな思惑を抱きながらデザイアの狙い通り、隣国の皇族が留学する事になった。
本来ならば文官秘書を務める娘がお世話係をするのだが、デザイアは狙いを定めた。
隣国の皇太子殿下こと、ライルハルトの傍に娘を置けばあわよくばと言う考えがある。
正妃になれなくとも愛人にできると。
万一の事を考え婚約を継続してライルハルトが気に入れば円満な婚約解消をさせるかシオンを悪者にして慰謝料をふんだくろうとも考えていた。
デザイアの思惑通り社交界ではライルハルトとサンドラは親しくなり、シオンが邪魔になったデザイアはシオンを排除すべくあることない事を噂を流し、愛し合う二人を引き裂こうとしている等と酷い噂を流し続けた。
ここまでくればシオンは黙っていない。
アスハルト家も黙っていない。
しかしいつまでたってもシオンは何も言わずアルハルト家から抗議が来ることがなかった。
業を煮やし続けたデザイアだったがアスハルト家から手紙が届いた。
婚約に関してだ。
内容は婚約破棄だろうと思ったが、サンドラの思いを組んでシオンが身を引き自ら謹慎処分となった事だった。
その所為で慰謝料をふんだくることはできないでいたが、その手紙がそもそもの罠だと気づかなかった。
シオンが王都を離れている間にサンドラが他の男と密会し朝帰りをしていた事が知れ渡ったのだった。
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