婚約者が隣国の王子殿下に夢中なので潔く身を引いたら病弱王女の婚約者に選ばれました。

ユウ

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46戸惑いながら

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あの夜、情熱的な告白をされてしまった私は困った。
これまで淡白な婚約をして来た私はどうしたら良いか解らない。


情けない話だがディアッカの言う通り私は恋愛に関してはピカピカ一年生だ。


リディア様に正直に話すと。


「嬉しいですわ」


等と言われてしまった。
サンドラ嬢には絶対に言わなかった。

何故なら彼女は理想の男性像が…というか基準がライルハルト殿下だったからな。


結局のその夜は一緒のベッドで眠ったが、寝不足だ。
眠りながら私に知り寄られて辛い。


「お前、馬鹿だろ」

「そうだ。私は馬鹿だ。これからどうしたら良いのだ」

「とりあえず性欲抑制剤を使うのは止めろ」

「しかし…」


いかに訓練をしているとはいえ、リディア様は魅力的で私の理性をぶち壊すことばかりするので薬を飲んでいた。


「将来子供ができなくなったらどうするんだよ…まぁそんな心配はねぇけど」

「リディア様を傷つけるわけには…」

「逆にそんな薬を使われた方が傷つくんじゃね?時にお前の優しさは情熱的に愛を囁く女に酷だ。姫様はお前にぞっこんだろ」

「ぞっ…」

「真っ赤になるな。うぜぇ」

ディアッカは手厳しい。
元から男に厳しく女に甘いがモットーらしいが。


「これでっも優しい方だ。これが他の男なら相談に乗らねぇ」

「うん…」

「はぁー…頭が痛いぜ」


私はやはり世間知らずなのだろうか?



「ネガティブになるな。お前姫様みたいな女性モロ好みだろ」

「うっ…」

「お前の好みの女はサンドラよりも姫様みたいな聡明でありながら芯が強い女だろ。ピッタリじゃねぇか」


私の女性の好みまでぴったりいい当たるディアッカに何も言えなかった。
初恋は名前もしらない少女だった。


顔も覚えていない。
だが私は騎士になる決定的な決意を固めたのは彼女がきっかけだった。



「別にお前等の結婚に色恋は必要ねぇ。だが、決められた婚姻で愛情が芽生えれば幸せだろ?お前の両親みたいに」

「ああ…政略結婚であり恋愛結婚だからな」


私はサンドラ嬢と婚約当初も政略結婚であっても愛情が芽生えればよいと思ったんだ。
色恋なんて貴族の婚姻に必要ないと。


しかし今になって理解する。

「私は彼女に随分と酷い事をしたな」

「お前な…」

「リディア様に真っすぐに好意を向けられ理解したよ…彼女は恋する人がいたのに心を殺して苦しんでいたんだ」

もっと早く察するべきだった。
愛する人がいるのに他の男に嫁がされるのはどれだけ辛いのか。


しかも十年以上も思い続けていた相手ならば猶の事だ。


「だからと言ってお前を粗末にしていいわけがない」

「彼女は大丈夫だろうか」


影武者殿をライルハルト殿下と思っている。
いや、十年以上も思っていた方だからもしかしたら何処かで気づいているかもしれない。


もしや影武者殿を愛していしまったのでは?


「あー!お前はどんだけ人が好いんだよ!」

「何を怒っているんだ」

「怒りたくもなるわ!普通責めるだろ!詰るだろ」


私以上にディアッカが怒り出し、その後お説教を受けながらも今後の事を話す事になった。


「とりあえずお前は姫様に惚れてんなら問題ねぇんだよ」

「そうか?」

「ああ。だからちゃんとしろ」


それは私がリディア様に対しての思いを伝えろとの事だった。



お膳立てもあり、私はリディア様に天使の神殿に誘い正式なプロポーズをして誓いを立て、薔薇の儀式を行う事に成功した後に王都に帰ることになったのだが…



王都では大量の貴族と医師が粛清されていたのだった。

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