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39見守り隊~ディアッカside
しおりを挟む健全過ぎる二人に呆れた。
「色気がねぇな」
「うるさいですよ」
現在俺は二人のデートを尾行中だった。
何所の世界に王女様とデートに職人達の集まる工房で埃まみれになってんだ?
他にもデートスポットがあるのに。
「次は漁師の集まりに行きましたわね」
「海女さんと海にでも潜るんじゃねぇだろうな」
シオンはそれなりにイケメンなのに中身が何で残念なんだ。
あれさえなければ完璧なんだが…
まぁ、あの頓珍漢があるからこそ周りはシオンを慕うんだろうが。
「つーか、健全過ぎて呆れるぜ」
「貴方の悪知恵で姫様が変な方向に進まなくて良かったですわ…それにしても何ですの?あの男は」
「あー地元のギルドだ。後は新聞記者じゃねぇか?」
この領地は隣国の貴族だけでなく商人の出入りも多い。
治安も良いし、諍いも殆ど少ない理由は、町の治安を守るのが乙男軍団だ。
下手な騎士よりも腕っぷしが良いのだが…
「新聞記者?」
「ああ、特産物が豊作でグルメの取材に来ているんだよ」
「そうですの?」
シオンも新聞記者の出入りを快く受け入れているから取材がしやすい。
それにしても何で港の方に行かないんだ?
シオンを追いかけているように見えるが。
「まさか質の悪い記者ではないでしょうね?」
「それはねぇだろ?まぁ…いや、待てよ」
いい事を思いついた。
「おいこれやるから大人しく待ってろピー」
「誰がピーですか!」
ピーピー騒がれたら面倒だ。
アイスを買ってやり俺は新聞記者の集まりに向かった。
「何をしていましたの?」
「ちょっとな?ちょうどいいだろ」
ヘタレなシオンの事だ。
結婚前は清い付き合いを貫くだろう。
「何を考えているんです」
「ちょっとしたお節介だ」
本人達がのんびり構えているなら周りが率先してやるべきだ。
別に悪い事をするわけじゃねぇ。
「嫌な予感しかないのですが」
「まぁ、ここは俺に任せておけ」
シオン、お前の気持ちは解っているぜ。
根っからの騎士体質のお前の事だから見守るような愛し方しかできないだろうが。
食虫植物はそんな甘い女じゃない。
自分の欲の為ならば周りが不幸になろうがどうでもよい。
俺が最も嫌悪する貴族の代表となる女だ。
万一姫様と上手く行ってもどんな手を使っても妨害工作をするだろう。
ならば先に先手を打つ。
「俺達は姫様には期待してんだよ」
「え?」
王女だからじゃない。
俺達のシオンに一途な思いを寄せるなんて見る目がある。
それに俺は姫様が嫌いじゃない。
だからこそ、シオンの隣でいて欲しい。
「俺は姫様にもう少し前抜きになって貰わねぇと困るんだよ」
シオンの性格があれだ。
だからこそ繋ぎ止めて貰わねぇとな?
「ディアッカぁぁぁ!」
「んだよ?うるせぇな」
「貴様の仕業か!この新聞は!」
翌日俺の仕組んだ事により領地内で新聞には二人の熱愛報道がされていた。
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