婚約者が隣国の王子殿下に夢中なので潔く身を引いたら病弱王女の婚約者に選ばれました。

ユウ

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35理想~ニナside

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避暑地に小旅行に来たけど、余計な物もいたけど。


私達までバカンスを堪能させていただき申し訳なく思う。


「こちら侍女殿お部屋です」

「えっ…こんなに素敵なお部屋を?」


私達侍女にも立派なお部屋を用意され、呼び鈴が用意されていた。

「食事に関しては好き嫌いがあれば事前に申していただければ」

「お待ちください私達にそのような」

私と一緒に同行した後輩侍女が慌てるも。

「シオン様より客人としてもてなす様にと」

「まぁ…」

なんて事でしょう。
このような配慮をしてくださるなんて。


「女性ですから船酔いの心配もされておりましたのでお薬と飲み物は柑橘系が良いかと」


これまで姫様の婚約者候補の男性や元婚約者は私達を人として見なかった。
それどころか、病弱な姫様の代わりに乱暴な事をしようとした者もいたけれどシオン様最初から私に紳士だった。


子爵令嬢でしかない私に対しても礼を尽くしてくださった。


「ニナ様、アルハルト伯爵様はお優しい方ですね」

「ええ…」

なんて心映えの美しい方かしら?
私の部屋には私の領地の特産物のお茶やお菓子も用意され、お花は我が家の紋章となるフリージアだった。


「このような事を言うのは無礼ですが…」

「言って見なさい」

「何故ヴィッツ令嬢は伯爵様を邪険にされたのでしょう。正直ここまで気遣いができてお優しい殿方に不満を抱くなどありえません」

「殿方を見る目が無かったのでしょう」

私からすればどんな我儘なのか。
あのお歳で継承以外で伯爵の地位を賜り、領地もちでこのような立派な船もお持ちである時点で相当な財産をお持ちだわ。


人脈もおありで何が不満なのかと思うけど、考えたくもないけれど。


「私、将来お仕えするなら伯爵様のような優しい方が良いです」

「そうなりますわよ」

既に婚約を結んでいるのだから。
誠実なシオン様はリディア様と結婚された後も不安は少ない。


「この旅行の間、御厚意に甘えましょう」

「はい」


だけど甘えるだけではいけないわ。
私達はリディア様の侍女として来たのだから。


そう思っていたのだけど。



「きゃああ!こんなごちそう初めてです」

「メル…」

昼食時に魚を中心にした料理に目を輝かせるメル。
侍女であるのにも関わらず旅行を堪能している。


「ニナ、気に入らなかったのか」

「いいえ、滅相もございません」


シオン様は身分差別が無さ過ぎた。
それには流石に頭を抱えそうになったが、姫様の伴侶にはこれ以上の理想的な男性はいなかった。
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