婚約者が隣国の王子殿下に夢中なので潔く身を引いたら病弱王女の婚約者に選ばれました。

ユウ

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34男だけの密談②チャールズside

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普段からふざけた男であるが、本当は誰よりも思慮深い事を知っている。

平民で下町育ちのディアッカは幼少期から辛い境遇にいながらも容量が良く世渡り上手だった。

対する私は違う。
公爵家の長男に生まれながらも周りは嫉妬心を向け。


父親が宰相である事でずっと功績は父親のおかげ。
士官学校にいた頃から裏口入学をしているなど陰口を叩かれて来た。


父とも折り合いが悪く、もっとずる賢く生きろ。
周りの人間を利用してもっと器用に生きろと言われて来たので反発した。


だが私にはシオンがいた。
汚い貴族達と同じになりたくない、でも綺麗事では何も守れない。


そんな私にシオンは何時も言ってくれた。


「君が優しいからだろう?同じでいる必要はあるのか?」


誰からも否定され侮辱された私はその言葉に救われた。
シオンは辺境伯爵家の次男でありながら早々に家を出て心無い言葉で傷つけられても耐えていた。

兄君が不治の病に苦しみ親族が跡継ぎ争いをしようとしているのを幼少期から察していた。
だからこそ兄を守る為に騎士となり、騎士となれば隣国に行くことも少なくない。

戦場の先頭に立つ第二騎士団を希望した事に違和感を覚えた。


今から数年前は隣国との戦争も多く第二騎士団は特攻隊とも呼ばれ死地に向かう事が前提とされていた。


何故第二騎士団を希望したのかと聞くと。


「兄を守りたい…それがきっかけだ。そしてもう一つある」


騎士とは正義を掲げるものだ。
だが騎士の中には任務が異なっている。

そして志も違う。


「第二騎士団は戦場に向かう事も多いが王都にて、火消しの役目も担うだろう?」

「ああ…」

「火事となる現場では二つの命を守らないとダメだ」

「二つ?」


この時の俺はあまりにも無知だった。


「一つは民を守る為、そしてもう一つは仲間を守る為だ」


「仲間を?」

「救援活動は命懸けだ。だからこそ仲間が命を守る」

その言葉に私は目から鱗だった。

誰かによって生かされる命だからこそ、誰かの為に命をはれる。


シオンはそう言う男だった。

私はそんなシオンが好きだった。
ディアッカのような騎士や官僚は少なくない。

馬鹿女サンドラは気づいていない。
権力なんて長く続く者じゃないし、いざという時に役に立たない。

高位貴族にいた私は一番知っている。
正反対に真の信頼は違う。


シオンは人の心を掴む才能がある。
同時に多くの人間の言葉に耳を貸せることができる。

「シオン程資質のある者はいないだろうな」

王とは完璧でなくともよい。
優秀な臣下を置けばよいし大事な時に判断をすればよい。

リーダとしての資質はシオンは十分に持っているのだから。


ただリディア様は第二王女である以上は王配になることも難しいだろう。




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