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19王宮へ
しおりを挟むリディア王女との婚約はまさしく晴天の霹靂だった。
第三者から見れば玉の輿だろうが、問題単純ではないのだが。
国王陛下と王妃陛下はどうお考えなのだろうか。
辺境伯爵家の令嬢が王族に嫁ぐのは無くはない話だが、その逆だ。
何か裏があるのだろうか疑いを持つ一方でテレシア王女殿下は国に損失が起きる真似はされない方だった。
一番に国の利益を考え、民の生活を守る事を優先している。
政治に関しても貴族第一主義の輩を厳しい言葉で責めている事から騎士団からも彼女を崇拝する声は少なくないのだから。
王命であるならば断る事は出来ない。
「この度は強引な真似をした申し訳なかったわ」
「テレシアが強引な真似を」
翌日婚約について話があるとの事で王宮に出向く事になった私達一家は国王陛下と王妃陛下に出迎えられ、しかもあ頭を下げられた。
「お止めください陛下」
「そうですわ。王が頭を下げるなど…」
一国の王が臣下に頭を下げるなど論外だったが。
「ヴィッツ伯爵夫人が馬鹿な真似をしでかした」
「はい?」
「今回の一件はあの馬鹿親子の浅はかな策略だ」
国王陛下は頭を抱えながら今回の噂について話してくださった。
「以前からアスハルト辺境伯爵夫人に対して劣等感を抱いている彼女は今回、ライルハルト殿下が留学にされた時に妄想を抱きましたの」
「その妄想が自分の娘が隣国の皇太子に…皇后になるなどと馬鹿な妄想を」
「文官長も最初こそは彼女に頼む気はなかった。しかし当初担当になるはずの令嬢が怪我をしてしまった事で…」
まさかすべて計画的だったのか?
通常なら文官長の部下の奥方や令嬢が世話役をする事が多い。
サンドラの父親ヴィッツ伯爵も文官長の補佐であるが本来なら文官秘書の地位についている者が望ましいのに妙だと思った。
「世話役と言ってもそう傍付きの女官も用意するので問題ないと思った文官長もここまで馬鹿とは思わなかったそうだ」
「ライルハルト殿下は早々にヴィッツ令嬢の行動に関して相談されたのだけど…肝心の伯爵夫人がねぇ?」
深いため息をつきながらヴィッツ伯爵夫人は話にならないと思ったのだが、そこで文官長の奥方がある提案をしたそうだ。
「本来の婚約を元に戻そうと思ってね」
「あっ…あの、本来とは」
まるで私が元々婚約者だとと言いたげだった。
「そこは私から説明します」
宰相閣下が名乗りを上げられ経緯を説明してくださった。
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