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15責任
しおりを挟む「勘違いしないで」
「え…」
私は自分の責任感の無さを責めていたが、テレシア王女は私に告げられた。
「例え貴方の婚約者がとんでもない阿婆擦れでも」
「殿下、そのような言葉は…」
傍にいる護衛騎士が咎めるもテレシア王女は続けた。
「貴方に非がないわ」
「しかし…」
「人の心を縛る事はできない。まぁ理性がないのは問題だわ。でも貴方は最後まで真摯に向き合って来たのでしょう?責めても良いのに責めなかった」
「私は婚約者である彼女を嗜めることもできませんでした。こうなった以上は責任を取るつもりです」
既にテレシア王女殿下にもそう思わせている時点で状況は最悪な物だったのだろう。
「責任って…貴方は何を」
「騎士団を辞めます」
「なっ…」
テネシーを外させて良かった。
もしこの場にいたら反対するだろう。
大騒ぎをするだろう。
「何を言っているか解っていて?」
「はい」
私が責任を取らなくては。
でなければ両親にも兄にも迷惑がかかるだろう。
「幸い私は社交界で親から縁を切られたと噂をされていますので…私の身一つで収まるならば良いのですが」
責任を取って手打ちになるなら構わない。
爵位、財産の剥奪に国外追放となるならば受けるつもりだ。
「どんな処分も受けると?」
「はい」
ただ許されるならば…
「望みがあるなら言いなさい。その代わり貴方の身を差し出す事になるわ」
「私がどうなろうと構いません。ですが許されるなら」
もし慈悲をいただけるならば…
「この度の事は私の失態です。許されるなら第二騎士団、そしてアスハルト家は関係ありません」
「あくまで貴方一人の問題と?」
「はい」
私がもっとサンドラの心に寄り添えなかったから。
もっと周りの噂に耳を傾けていればこんな事にならなかったのだろうか。
「良いでしょう。私の権限でアスハルト家、第二騎士団には害が及ばないようにしてあげます」
「寛大なお心を感謝いたします」
なんとお心の広い方なのか。
本来なら私だけの首では済まないというのに。
「シオン・アスハルト…貴方は我ら王族にすべてを捨てて仕える事をもう一度誓えますか」
「はい、勿論でございます」
騎士の道を志した時から私は決めていた。
国の為、王家の為に。
最後まで王家の剣になる事を誓う事を決めていたのだから。
私の覚悟は今さら揺らぐことはない。
その日私は騎士団を辞めるべくその旨を元恩師である現在王立騎士団将軍である方に伝えることにしたが、猛反対を受けた。
勿論同僚と副官まで。
そんな折、私は上司と同僚と一緒にとんでもない現場を目にしてしまった。
サンドラとライルハルト様が人目を忍んで愛し合っている光景だった。
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