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11王女と騎士

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長い廊下を歩き、一番奥の部屋の扉に天使の絵が彫られていた。


扉が自動で開き、リディア王女をベッドに寝かせる。

「申し訳ありません」

「私の事など気になさらないでください」


ベッドに横になっていただき、お茶の準備をしようとするとニナ嬢だけでなく他の侍女殿も慌てだす。

「いけません、そのような…」

「毒味は私がしますが?」

私が毒を盛ると思われたのだろうか?


「いや違うぞシオン。客であるお前が茶の用意をするのが問題だ」

「もう用意できたが」

「早いですね」


自分の身の回りの事は基本自分でするし、サンドラにもお茶を淹れるように言われていた。


「どうぞ」

「ありがとうございます」

「まぁ…美味しい」

気に入ってくださって良かった。


「シオン、侍女の仕事を取るな。そして当然のように林檎の皮を剥くんじゃない」

「ん?」

「ハァー…」


果物が置かれていたので、皮を剥くもチャールズに咎められる。


「シオン様、このような事をしていただくなんて」

「お気になさらず。慣れておりますので」


ふと外を見ると雨が降り出して来た。

「庭園を見せていただいてもよろしいですようか?」

「チャールズ?」

「ええ、かまいませんわ。ニナ」

「はい姫様。チャールズ様、ご案内します」


王女宮の庭園は美しい。
芸術を愛するチャールズからそれば見てみたいと思うのは当然だが、ここで二人きりになるのはどうなんだ。


「窓は開けておけば問題ないだろ?」

「そうだが…」

扉の外で女性騎士も控えているから何の心配もないが、リディア王女と二人きりになってしまった。


「あの…この度は申し訳ありません」

「はい?」


「折角来ていただいたのに」

「いいえ」

リディア王女は本当に控えめな方だな。


「差し出がましいと思いますが、よろしいでしょうか?」

「はい」

「控えめなのは美徳かもしれませんが、貴女様はもう少し堂々とされてもよろしいかと」


本来ならば無礼となるかもしれない。
格上の王女殿下にこのような事を申し上げるのは。


「無礼は承知しております。ですが貴女様は我が国の第二王女殿下です誰が何と言おうとも」

「ですが…」

「病弱だからなんだと言うのです。貴女様はご立派です」


偉そうにしているだけの貴族。
自分の立場を弁えない馬鹿な貴族は馬鹿だ。

「貴女様の慈悲を理解しない愚か者に耳を貸す必要はございません。貴女様の為にも」


王族の役目を果そうと懸命になられる彼女を侮辱するなど言語道断。


「我ら騎士団は王族をお守りする盾となり剣となります。私達は貴女様の敵になる事はありません」


どうか忘れないで欲しい。
我らは王族の、リディア王女の味方である事を。


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