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6噂の第二王女殿下
しおりを挟むカスメリア王国の第二王女、リディア王女は王宮ではなく離宮で暮らしていた。
幼少期から体が弱く王女として公務をこなす事もできなければ社交界に出る事も難しい病弱な体質で、重い病を抱え子を作る事も出来ない。
王族の足手まとい。
出来損ない、ハズレ姫などとも呼ばれている。
第二王位継承権を持ちながら黄金の檻の小鳥だと酷い言い方をする者も少なくない。
私は王女殿下に直接お会いしたことはない。
彼女に直接会える騎士は近衛騎士でもほとんどおられないと聞くが。
「とても謙虚な方だな」
手紙の内容から本当に控えめでもあるが、聡明で思いやりのある方だと言うのが解る。
お返しの品も気に入っていただけて良かった。
「シオン」
「兄上」
手紙を読んでいると兄上は声をあけてくださった。
「浮いた話もないお前が珍しいな」
「残念ですが、兄上を喜ばせるような内容ではありませんよ」
私よりも五歳も年上で、文武両道の兄上は常に私を揶揄うのが好きのようだ。
「シオン、今からでも遅くない。あの女と縁を切る気はないか?」
「あの女だなんて…」
兄上は誰にでも分け隔てなく優しい方だが、慎重な方だった。
サンドラとの婚約も最後までいい顔をしなかった。
「シオン、お前は僕の可愛い弟だ」
「はい」
「政略結婚は貴族としての義務であるが、既に独立しているんだ…家の事は気にしなくて良いんだよ」
独立して実家を出ても私は家を捨てたつもりはない。
中央の貴族との繋がりを断つ事は周囲に敵対心があると思われるからこそこの婚約は断るのは得策ではなかった。
辺境伯爵家は王家に忠誠を誓っているが、強い力を持つ為に中央の貴族から敵視されている。
我らに敵対心はないというのに。
その為、大きな戦が始まれば必ず辺境貴族の子息を一人戦場に出す事を条件に出されていた。
ノブレス・オブリージュ。
責任と義務と言う意味合であり、国の為に尽くす事だ。
国の為に命を差し出す事には賛成しているが、それを逆手に取って私達を体よく始末しようとしているのが気に入らない。
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まぁ、無事に帰還したおかげで最年少で団長となった。
これに関しては中央の連中も想定外だろう。
サンドラはあまり喜んでくれなかったが。
「シオン、僕はお前に幸せになって欲しい…彼女との婚約がお前の幸せにつながるとは思わない」
どうしても兄上はサンドラを受け入れられないようだ。
相容れない人間とはいるものであの二人はどうしても解り合えないのだろうか。
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