婚約者が隣国の王子殿下に夢中なので潔く身を引いたら病弱王女の婚約者に選ばれました。

ユウ

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4舞踏会

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会場まで護衛をした後にライルハルト様はサンドラをエスコートしてくれた。


「貴方は警護があるから結構よ」

「いや…私は」

「察しが悪いわね。殿下をお一人にする気?騎士の癖に察しなさい」


彼女の言う事も一理ある。
だが、その場合は公女様や王族の方々の方が望ましいのだが。


サンドラの父君は文官長の側近だ。
彼女に任せたという事は私が何かを言う権利はない。


「サンドラ嬢、私の事は気にしなくても構わない…」

「どうかお気になさらず。私はどうせ壁の花ですもの…婚約者は警護をしなくてはなりませんし」


いや、そんな頻繁に警護に出ていないんだが。


「ライルハルト様、どうか私の事は気になさらないでください」

「申し訳ない」


「いいえ…」


聡明で控えめな方と聞いているが、少し印象が異なる。
言うべきことはしっかり言う方だと思っていたがもう一つの仮説に気づく。


「ライルハルト様、帝国とは異なりますがどうか楽しんでくださいませ」

「シオン殿…」


私はこの方が嫌いではない。
むしろ好きかもしれないと思い楽しんで欲しいと思った。




「お前馬鹿だろ」

「馬鹿だ!」


置いてきぼりを受けた私は壁の花になっているのを見つかった二人に首根っこを掴まれズルズル引きずられて行く。


「苦しい…」

「何敵にエールを送っているんだよ」

「お前は何時から御者になった?従者に近い扱いを受けてるんじゃない」


既に酒を飲んでいる二人は酔っているな。

「飲み過ぎるなよ」

「シャンパンなんてジュースみたいなものだろ?」


まぁ万一の事を考えて制限しているのだろうけど。
ここまで怒る必要はないだろ。


「あームカつく」

「あの女、見て見ろ」


視線を向けるとサンドラと皇太子殿下がダンスを踊っている。


「婚約者がいる身で安中に体を寄せて…足元がふらついているな」

「ダンスは得意なはずなんだが…」

「お前は馬鹿だろ」


ダンスが得意な彼女が足元がふらつくなんて珍しい。
やはり憧れの人の前では緊張してしまうのではないかと思うのだが。

「クソ!ブランデーだ!」

「ディアッカ、レモンスカッシュで我慢しろ。取って来てやるから」

「シオンのバカヤロー…グスン」

泣く事はないだろうに。


人一倍友達思いの優しいディアッカだからこそなのかもしれない。
甘いケーキも貰ってこよう。

苺のケーキが大好物だからな。



飲み物を取りに行く際中に人が集まっていた。


「何だ?」


気になった私は人混みの中を見ると複数の男が一人の女性を囲んでいた。

「なんて汚い…」

「この場を汚すなんて…」


口元をハンカチで隠しながら今にも嘔吐しそうだった。
真っ青な顔に床にしゃがみ立つ事も出来ない状況で私は仲に割って入った。

「何をしている!」


体調を崩した女性になんて真似を!


「シオン殿!」

「汚いのに近づかない方が…」

「どけ!」

具合が悪い女性になんて真似を。
これでは大勢の前で晒し物にされているのと同じではないか!


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