不運な男は王子の身代わりに敵国に嫁ぐことになりましたが愛されてしまいました!

ユウ

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「馬鹿者!」


狭い牢屋も崩壊する程の声だった。
思わず耳を塞ぎたくなった俺は薄暗い牢屋でようやくその人の顔を見た。

「この度は我が国の問題に巻き込んでしまい真に申し訳ありません。怒りはごもっとも、許されるなら腹を切る所存です」

「ラストサムライだ」


これはまさしくあれだな。
じいちゃんが好きだったあの映画だ。

時代劇大好きなじいちゃんの好きそうな人だ。


「あの…頭を上げてくれませんか」

「しかし…この馬鹿が貴方に無礼を働いたのは事実。これらは早々にさらし首にしなくては」

「待ってください団長・・・」

「黙らんか!貴様らは何所まで人でなしなのだ!」


自分達の非をまるで認めようとしたない男二人は納得していないのだ。


「第一、私があずかり知らぬ場所で異世界人をこのような拷問にかけるとは誰かが命じた」

「殿下の指示で…」

「貴様らは何所まで馬鹿なのだ。殿下が命じたとしても教皇猊下、国王陛下の許可なく許されるか!陛下は監視下に置くと言われたが監禁しろとは言っておらぬわ!」



「え?そうなの?」


あの後俺が聖女ではないと知った時、周りの人は落胆、怒りの表情がひしひしと伝わった。
しかも俺を偽物呼ばわりしたあの男は俺を牢にぶち込めと命じたのだが、王様の命令ではなかったようだ。


「しかしこれは…」

「これ?この方だろうが!異世界の人間を巻き込んだあげく貴様らは蔑んだのか!何様だ!」

話が前に進まない。
とりあえずこの場で殺されることはないようだ。


「鍵を出せ」

「ですが…」

「そうか、ならば致し方ない」


すぐにでも俺を出そうと試みる騎士さんは牢屋に触れた。


もしかしてこの人…


いやいや気のせいですよね?
そんな力技で押すような真似をするはずがないと思ったが。


「三歩後ろに下がってください」


本気だ。
俺は逆らうこともできず三歩後ろに下がった瞬間、騎士さんは力の限り牢屋をぶち破った。


「どうぞお出になってください」

「はっ…はぁ」


手を差し出された俺はその手を掴んだ。

いやいや、これってさ。
女の子がときめくだろうが俺は男だ。

なんだかな。
こんなことを思うの騎士さんに失礼だけど。

「傷人ずつない手ですな…」

「は?」

「貴族…いや王族の方でしょうか」

何か誤解をされている。
確かに実家はそこそこ裕福だがおお金持ちというわけではない。

ないのだが、騎士さんは何故か俺に礼を尽くしたのだった。


この後俺はどうなるのだろうか。




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