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第二章

13.愚か者の母は愚か

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破滅の道を進んだローガスはその後、社交界からも追放されることになった。

既に評価はがた落ちだった。
エスカル家は多額の借金を背負っている状態で家族会議を行われるも。


「邸を手放すなんて嫌ですわ。王都を離れて田舎に行くなんて!」


一番嫌がったのは妻であるラリサだった。
婚約破棄の事は聞かされていたが、伯爵家が邸を手放し平民となり田舎暮らしをすることになった事を告げると猛反対した。


「心配いらん、出て行くのは私とマーカスだ。お前は好きにしろ」

「は?」

「私とマーカスは田舎でやり直す、麦を作り、農民となって慎ましやかに生きて行く…幸いにも領地の一部だけは残っているからな。そこで静かに親子で暮らすつもりだ」

「何を言ってますの」

「解らないか?離縁だ…好きにしろ」

そういいながら離縁状を叩きつけるエスカル伯爵にラリサは絶句した。


「正気ですの?」

「嘘でこんなことを言うと思ったか?お前は平民の暮らしはできないだろう?針子の真似事だって無理だ。何もできないからな」

「そんな言い方…」

厳しい現実を受け入れることができないラリサに最後の言葉を告げる。

「既にこの邸は私達の物ではない。借金の返済金の一部だ。ここにいても追い出されるだけだ…だが、お前は私と一緒についてくると言うなら、お前を守る気でいたが…ありえない話だったな」


軽蔑する目を向けながら手に持っていた袋を逆さにした。




「ここにある装飾品に覚えはあるか?お前の部屋から出て来た物だ!」

床に散らばる装飾品は決して高価な物ではなかった。


「何故、フレデリカ嬢に贈った宝石がお前の引き出しから出て来たんだ」

「それはフレデリカが捨てたから…」

「もう良い。嘘をつかなくていい…フレデリカ嬢に送ったはずの手紙も出て来た。お前という奴は何処までも!」

「待ってください…私は!」


ラリサはフレデリカを婚約者として迎え入れても嫁としては認めていなかった。
下級貴族であり元は平民の出自を貶しながらも、邸内では姑としての指導だと言いながらも暴言を吐いていた。


ローガスのような明らかな暴言は吐かないが、これ見よがしに上流階級がなってないとお茶会で愚痴を零したり、下友人の前では地味なドレスしか着ないように命じていた。

当初はマーカスも注意をしようとするも、嫁姑関係に口を挟むなと言われ、あげくの果てにはマーカスに泣きついた等と誤解をしてさらに嫁いびりに近しい事をしていたのだ。

「この宝石は私の母の形見だ…フレデリカ嬢には十分なドレスも宝石も与えてやれなかった。だからこそ母の形見を渡したと言うのにお前という奴は!あげくフレデリカ嬢に嫌がらせをしていた証拠も親切な夫人が態々証拠をそろえて教えてくださった」

「そんな…」

床に散らばる書類にはお茶会でフレデリカを侮辱した証拠が記されていた。

既に逃げることは不可能だった。



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