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第一章
23.決戦前
しおりを挟む試食会の当日は、フレデリカも同行することが義務付けられた。
その理由は、今回の試食会ではレストランに融資をした者は試食会に参加しなくてはならないからだった。
「姉さん、大丈夫なの?」
「大丈夫よ、蠅如きがブンブン飛んでいるだけよ。後で虫よけスプレーでも撒けばいいわ」
「害虫なら、殺虫剤の方がい良いと思うけどね」
試食会にはローガスとアマンダも参加しているはずだ。
参加する貴族の中には名だたる美食の貴族やギルドに王族も参加しているので、フレデリカが関わっていると知ればこれ見よがしに恥をかかせようとするだろう。
もしくは二人の仲を見せつけ、フレデリカを惨めな婚約者に仕立て上げようとするだろう。
「本当に申し訳ありません、フレデリカお嬢様…この度は」
「私が望んだことですし、王室御用達の老舗レストランのオーナーになれるなんて光栄ですわ」
マーシャルは巻き込んでしまった事を申し訳なく思う。
既にレストランは経営がこんなな状態だったので新たらしくオーナになってくれる人は必要だった。
店の権利までも奪われる寸前だったのか、昨夜に柄輪の悪い連中が店に押し寄せて来た。
しかし、フレデリカが大金をチラつかせ、倍の金額で土地ごと買い取る形で解決した。
この嫌がらせもローガスとアマンダが仕組んだことは裏が取れていた。
だかたこそ、絶対に負けるわけにはいかない。
「やりたい放題して、調子に乗った馬鹿に世間の厳しさを押して差し上げるべきですわ」
「フレデリカお嬢様」
「やぁね?オーナと呼んでくださる?」
「姉さん、楽しんでいるね」
緊張するマーシャルとは反対にフレデリカは楽しみで仕方ない。
なんせ試食会はただの料理勝負ではなく、王族や高位貴族の前で商売ができる絶好の機会だったのだ。
「この日の為に仕入れた最高級の器があるのよ。このチャンス物にしてみせるわ!上手く行けば晩餐会に使ってもらえれば!」
「姉さん、ちゃっかりしているよね」
「我が娘ながら、頼もしいな。しかし、それでこそ、ルメルシェ家の人間だ!売り込んで来るんだぞ」
フレデリカの逞しさを心から喜ぶ父。
この父にしてこの娘ありで、二人はどんな状況においても商売をすることを考えていた。
「ちょうどいい踏み台もありますし」
「陛下の御前で馬鹿共に恥をかかせて来い。そして完全なる勝利を掴み、格の違いを見せつけてくるんだ!」
「お任せくださいお父様、こちらから婚約破棄をしては意味がありませんもの」
二人は不敵に微笑みながらもかなりあくどいことを考えていた。
今までの恨みを晴らすべく、試食会でローガスを公開処刑するつもりだったのだった。
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