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第一章
18.不味い食事
しおりを挟む奇妙な組み合わせで食事をすることになったが、予定通りランチを注文することにしたが。
入って早々難色を示さざるを得なかった。
まずウェイトレスの態度が最悪だった。
入ってすぐに案内されることはなく。
「チッ、何名様ですか」
「三名で。テーブル席を…」
「カウンターでお願いします」
客の言葉を遮りやる気のない態度に失礼極まりない発言だった。
「奥の開いている席にどうぞ」
(は?)
案内もせずにメニューを乱暴に置かれてしまう。
下町の店でもここかで酷くないとも思ったが、店員は客によって態度を変えているようだった。
(なんて店なの!)
入って早々に不愉快な気持ちになり、テーブルも乱暴で水拭きされただけだった。
「ご注文は?」
「じゃあ、Aコースを」
「時間がかかりますから日替わりにしてください」
さらに注文までも勝手に決める始末だった。
「まったく冷やかしの客はごめんだわ。成金が風情が…」
ブツブツ文句を言いながら去って行くウェイトレスは去って行く。
これの何処が高級レストランなのだろうかと思いながらメニューを見ると、メニューの内容にも驚いた。
「何なの?このメニュー」
思わずメニュー表を握りつぶしたくなった。
通常、王都内の店ではワインなどよりも水の値段が少しだけ高い。
けれど、この店では水いっぱいにワインの三倍の値段がしていた。
しかもコースのサラダの値段も高すぎる。
一番安い日替わりランチも、他のレストランに比べると安いとは言えない。
「フレデリカ嬢、大丈夫ですか?」
「はい」
二人の表情は解っていたかのような表情だった。
「お待たせしました」
一時間後ようやく料理が届いたが、その料理の内容も酷いものだった。
「この野菜は…」
見た目は綺麗であるが、野菜の鮮度は良くない。
他国の輸入ものであるのが、王都内での飲食店で使える野菜は限定されている。
しかもメニューにはちゃんと国産の野菜と書かれているのに詐欺だった。
「これは明らかな違法です」
「え?」
ヴァルトラーナは眉を動かした。
「この野菜は輸入物です。しかも限度を超えた農薬を使われています」
サラダを一口食べてすぐにわかった。
鮮度がないく後味に苦みが酷く感じるが、ドレッシングをかけると解らないようにしてある。
ドレッシングの調味料はスパイスを利かせすぎており、化学調味料がふんだんに使われていることもあり、体には悪かった。
「前菜のサラダは、メインを楽しむためのもの…」
宴席料理などは、単品ではなく、次に繋がる料理でなくてはならない。
前菜の味はあっさり薄味にしてメインに出る料理を引き立てさせあくてはならないのだから。
「マルシェのお店なら間違いないわ」
「マルシェ?」
「お嬢様は、このお店の偵察にいらしたのですか?もしやマルシェを救う為に調査に?」
フレデリカの発言に二人は全てを察した。
最初からおかしいと思っていたのだが、ようやく合点がいった。
「フレデリカ嬢、もしよろしければ事情をお聞かせください」
「私達にも協力できるかもしれません」
強張った表情のフレデリカに二人は協力したいと言われ、事情を話すことにした。
「なるほど」
「なんと恥知らずな真似を」
案の定二人の表情は険しかった。
特にロジャーは、今すぐにでブチ切れそうだった。
「王室御用達のお店は老舗です。確かにお値段は高いかもしれませんが、料理を考えれば妥当です。いいえ、安いとも言えますわ」
「ああ、オーナーのマーシャル殿の腕は本物だ。何より食べる物への気遣いに思いやりにあふれている」
王室御用達のレストランの中でも、サン・マルシェの店が一目置かれる一番の理由は、もてなす心だった。
決められたメニュー以外に、食べる側が一番望むものを見極め料理を出す。
不調の客には、体に優しい物をサービスで提供する気遣いもある。
マーシャルだけでなく従業員の気遣いも完璧だった。
「料理もそうですが…従業員の態度にも目に余るものがあります」
「そうだな…私は一度ここに来たが、二度と来ようとも思わなかった」
食事が進んでいないヴァルトラーナとロジャーの皿には一口だけ食べただけで、後は手つかずだった。
しかし、フレデリカは美味しくないと思いながらも食事を続けていた。
その様子に二人は驚いていた。
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