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第一章
10苛めの現場
しおりを挟む集団で一人を苛めるのは由々しきことだ。
「何よ貴女!」
「いきなり現れて」
「私は生徒会の人間です」
腕章を見せると、彼女達は一歩引く。
「最近一人の女子生徒が苛めを受けていると言う報告がありまして。空き時間にパトロールをしていたんです」
「何を…」
「今見た事を生徒会長にご報告させていただいてもよろしいですか?」
「待って!それは…」
「苛めではなく誤解だと言うなら問題ありませんよね」
冷や汗を流す所を見るあたり彼女達はたいした権力は有していない。
誰かに言われてしている可能性もある。
「私は…ただ」
「悪いのは彼女よ。私達は学園の風紀を乱すから」
「そうよ。リーゼロッテ様を悪女に仕立て上げて悲劇のヒロインぶっているのはこの子よ」
私が少し脅迫したら真っ青な顔色になるが、私を睨み告げた。
「私はそんな…」
「嘘よ。リーゼロッテ様が悪女に仕立て上げられているのを笑ってたんでしょ?だから平気で殿下と密会なんてできるのよ…それに先日のお茶会でも殿下の瞳の色のリボンをつけて」
「男爵令嬢の癖に…私達も馬鹿にしているんだわ」
「資産家で何の苦労もしないで。リーゼロッテ様がお可哀想よ」
おや、これは。
私は彼女達を誤解していたのかもしれない。
「貴女達、良い人ですね」
「「「は?」」」
私は噂では一部の令嬢がシェリルさんに嫌がらせをしていると思ったけど。
でもその人は彼女達じゃない。
「リーゼロッテ様の為に汚れ役をするなんて」
「べっ…別に」
「だけどこんな事をしてもリーゼロッテ様はお喜びになりましょうか?あの方は気高くも美しくお優しい方です」
「それは!」
「むしろご自分の所為だと悲しまれるのでは」
彼女達は敵ではない。
むしろ味方になってくれるかもしれない。
「先ほどは失礼しました。私は勘違いしてました。てっきり苛めをしているのかと…注意をしていらしただけなんですね!」
「えっ…いや」
「違うわよ?」
私は早とちりしてしまった。
双眼鏡でも見間違いをしたのかもしれない。
ポンコツだったのね!
「リーゼロッテ様はお立場が御座いますので、辛くても辛いとは言えず。恋敵に文句も言いたくてもできない。なのに周りが悪女だと騒ぎ立て、殿下もリーゼロッテ様に対して劣等感を抱かれてているのでしょうね」
「え?殿下が?」
距離を保っていた彼女達に私はここぞとばかりアピールをした。
リーゼロッテ様がどれだけ優秀で素晴らしい方か。
そしてフェルリス殿下がダメなのか。
ただし口には出さず、リーゼロッテ様が優秀過ぎる故に委縮していると伝えたけど。
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