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第四章
12.禁句
しおりを挟むロイドの失言に誰もが殺意を飛ばした。
「こいつ、ぶっ殺す!」
「こんな暴言を吐く奴を許せないね」
「つーか、こいつ反省してないね!」
女なんか。
たかが女如きが、等と男尊女卑を強要する男が一番大嫌いな彼女達は、ロイドを完全に敵と判断した。
「浮気を正当化するなんて…宗教でも愛人を作るのは罪だ」
「リリアーナ様を殺そうとした屑野郎が!あの方はまだ幼いって言うのに…なんて身勝手な」
「例え極刑になっても殺してやる!」
「「「「そうだ!皇后陛下の敵は私達の敵だ!」」」
「ひぃぃ!」
余りの恐ろしさに情けない悲鳴を上げるロイドはガタガタ震えた。
もはや立ち上がる事もできず、その場にしゃがみ込んで、立ち上がることはできない。
他国ではこういう言葉がある。
魔獣を怒らせても妻達を怒らせるな。
この世で最も恐ろしいのは団結した妻達。
特に辺境地の妻達は恐ろしく団結すれば騎士団以上だとも言われていたのだ。
「俺は…悪くない。俺は…」
ガタガタ震え、なんとかして逃げなくてはと思っている矢先。
その場に現れたのは女官を伴ったロッテンマリアだった。
「何の騒ぎです」
「「「女官長!」」」
一瞬だけ殺意が緩み、ロイドは直ぐに助けを求めようとした。
「おい、この無礼者を今すぐ牢屋に入れろ!この俺に無礼を働いたんだ」
「無礼?」
ロッテンマリアは怪訝そうな表情をする。
気性は荒くとも場を弁えている女傑軍団が今日という大事な日に問題を起こすとは思えない。
ならば余程の事があったに違いない。
「ロッテンマリア様、代表して申し上げることをお許しください」
「料理長、いいでしょう。発言を許可しましょう」
「許可など不要だ!」
「彼女達は皇后陛下専属、理由なく粗相をいたしません。それとも、何か不都合でもおありですか?」
「それは…」
ロッテンマリアはロイドを軽くスルーして事情を聞くことにした。
そして――。
「今すぐこの男を火あぶりにしなさい!」
「何でだぁぁぁぁ!」
ロッテンマリアは鬼のような表情になり、極刑を言い渡す。
「落ち着きください」
「皇后陛下への侮辱は竜帝陛下の侮辱です!陛下がどれ程皇后陛下を慕っていらっしゃるか…皇后陛下を辱めるなど大問題です」
「こんな男の為に手を汚す必要はありません。海に沈めてしまいましょう…そうです。気が触れて海に落ちたことにすればいいのです」
「海が汚れますわ」
「「「確かに…」」」
この場にロイドを庇う者は誰一人としていなかった。
むしろ援護射撃する者が増えただけだった。
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