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第四章

10.軽蔑

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幼い宮女フェイは目の前の男を見てげんなりした。

通常、宮女に皇后の取次ぎなんてできないのだ。

「申し訳ありませんが私は、皇后陛下の給仕係でしかありませんので。取次などは侍従や女官長に傍仕えの女官を通していただかなくてはなりません」

「それぐらいいいだろう」

「何より皇后陛下を呼び出すなど論外です。例え他国の王や皇帝でも許されません。あの方はただの妃ではありません。竜后陛下なのです」

「俺はリリアーナの夫だ!妻を呼び出して何が悪い」

「なっ…無礼な!私達の皇后陛下に対する侮辱です!この恥さらしが!」


フェイは身分が平民であるが、しっかりと教育を受け、最年少で皇后の傍付きを許された事に誇りを持っていた。

故にリリアーナを辱める行為をする者は許せない。


「我が国を侮辱する気ですか。貴方の周りに侍る軽薄な女と尊い我れらの皇后陛下を同列に扱うとは無礼にも程があります。なんて浅ましく汚らわしいのかしら…ああ、こんな男が皇后陛下と同じ空気を吸うなんては屈辱です」

「何だと貴様!蛮民の癖に」

「野蛮なのは貴方でしょう?妄想も体外になさい…リリアーナ様を呼び捨てにするなんて万死に値しますわ。そもそもこんな男は国の代表なんてありえないわ」

「貴様ぁぁ!」

ロイドは逆ギレして殴りかかろうとしていたその時だ。


「フェイ、お茶の準備なんだが…って、何してんだアンタ!」

「この変態野郎!」


厨房係のシェフとパティシェ―ルが現れた。


「お二人共…」

「ちょっとアンタ!フェイに何をしようとしてんだ!」

「まさか部屋に無理やり連れ込もうとしたんじゃないだろうね!」


第三者から見れば嫌がる幼い少女の腕を掴み無理矢理部屋に連れ込む図式ができた。

すぐ傍には使われていない部屋が近い事も災いしていたのだ。



「この最低男!」

「フェイから離れな!」

二人は力でロイドを押さえつけ、フェイを助ける。


「どうしたんだい!」

「何の騒ぎだ!」


物音に驚き現れたのは、リリアーナ専属の料理人。

別名女傑軍団だった。


「この男が皇后陛下に不埒な真似をしようとされたのです!」

「おい…」

ロイドはありもしないことをでっち上げられ怒りを表すが、既に遅かった。


「何だって?私達の敬愛する皇后陛下に不埒な行いをしようとしただぁ?」

「殺されたいのかい!」

「ぶっ殺してやる!」


女傑軍団は既に子育てを終えた年齢だった。
そして彼女達はあの裁判でリリアーナを守ろうと立ち上がったリーダーの集まりだった。


リリアーナに無礼を働いたり傷つけようとしたならばどうなるか明白だった。


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