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第四章

8.会食

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会食は和気あいあいとした空気で政治の話を混ぜながら行われた。
その中でも一税金の話では誰もが熱く語り合っていたのだ。


「戦後の国も多く、我が国も同盟国の財政が緊迫しております。それゆえに国民の重税を軽減したく思うのですが」

「それはかなりの難題と言えるな」


政治の話を各国の代表は真剣な表情でする。
国民に重税をしてばかりでは、飢え死にしてしまう者も増えるだろうと。


「我が国は、貴族しか真面な医療が受けられません。理由は貧しさ故です…とは医師の不足ですな」

「妾の国では医師は少ないが薬師がおる…だが、どの国も医師不足は問題じゃな」

「医師だけではありません、医師の補佐も…病院施設もですわ。治癒師だってそう多くありませんのに」


酒が入る事で、熱が入り過ぎになるが、どの議題も大事な内容だった。


「国民の税を減らせば貴族の不満は募るだろう、しかし国民をこれ以上苦しめない為には貴族から税金を取るの一番だろう」

イサラが解決策に貴族に税金を支払わさせればいいのではと意見を出すも、そう簡単に貴族が税金を出すとは思えない。


そこでリリアーナはとある提案をした。

「ならば贅沢品に税を増やすのはいかがですか?我が国にも贅沢品に税をつけて利益を得ています」

「なるほど贅沢品に税を…」

「後は補助金の見直しかな…過度な寄付で国の予算を圧迫させることもある。金銭的な援助よりも食料等の援助でも問題ないはずだ」



「それはいいですわ。国に帰ったら早速提案しなくては…我が国も補助金や寄付金は悩みの種でしたの」

(なんだと!)

アンジェの言葉にゾフィスは目の前が真っ暗になった。
影で隠れて寄付金を横流していたのだ。

万一、寄付金の見直しなどされては大変な事になる。
既に聖女の後見人の立場だけでなく国に災いを呼んだとされており、この上、寄付金を横流ししたなんて知られたらどんな事になるか。


「王女殿下、それは…」

「以前から国王陛下が頭をかかえていたのです。教会への寄付金が日に日に増えるのに対して地方の小さな教会はまずしいまま…対策が必要だと」

「それはいけないな。小さな教会こそ大切にすべきだ」

「そうですな…中央だけ残っても、地方の教会が潰れては意味がない」

ケルニア国の王は、信仰心が強いので教会の重要性を誰よりも理解していた。

「私も、国に帰ったら寄付金の見直しを大臣と相談すべき…いや、わが国だけではなく同盟国にもこの案件を話してみよう」


トントン拍子に話は進みリリアーナの意見は受け入れられた。


その所為でゾフィスは更に境地に追いやられることになり、焦りが強くなってしまったのだった。


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