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第四章
7.勘違い男
しおりを挟むロイドとゾフィスは計画が狂いっ放しだった。
最初からお粗末な計画であったが、人間からはあまり評価の良くない暗黒竜と悪名高いイサラの評価を下げ、尚且つか弱い妃を人質に取る非道な竜だとい噂を流そうと思っていた。
しかし、式典に招待された各国の貴賓達は、竜だからといって色眼鏡で見る様なものではなかった。
友好的な目で見ている事から、番狂わせな事ばかりだった。
それに付け加え、案内役の女官フリーダにも先手を打たれ、マウントを取られ続ける始末。
なんとかして悪い噂を流してやろうと思ったが、逆に自分の首を絞めることになってしまったのだ。
現代は孤立状態で、逆にイサラの評価が上がるばかり。
しかも隣にいるリリアーナは本当にあのアシカ姫と呼ばれたリリアーナなのか疑わしいものだ。
(別人ではないか!)
面影はあるが、ふくよかな体は引き締まり細くなった。
異端だと思っていた褐色の肌は魅力的に見えるし、品の良いドレスはとても美しく、何処から見て美姫だった。
(そうか…俺の為にこのような装いを)
ロイドはとにかく自分に都合よく考えていた。
(リリアーナは俺を愛しているはずだ…先ほどから俺を見ているしな)
ただ視線が合っているのは、その先にいるアンジェやリデルがいたので視線で挨拶をしていたにすぎない。
そわそわしていたのも、アンジェと早く話したいからで、決してロイドを見ているわけではなかった。
「白百合、後で時間を設けるから心配しなくていいよ」
「ありがとうございます陛下」
「ああ」
嬉しそうに目を輝かせるリリアーナに笑みを浮かべ、周りは実に仲睦まじいと思う中、食事会が始まった。
最初はオードブルから各国が食べなれている物をだしていた。
食事会は和気あいあいとした物となり、食事の間は政治の話になるも、完全に蚊帳の外であるロイドは面白くなかった。
「そういえば皇后陛下とアンジェ王女殿下は幼馴染だとうかがっておりましたが」
「はい、幼少の頃よりお付き合いをさせていただいております。アンジェ王女は立派な女性騎士でもありましたので、治癒師として共に戦場に向かう事もありました」
「なんと勇ましい事だ」
「お恥ずかしいですわ」
アンジェは優雅に微笑みながら、そこから先は武勇伝を語り合った。
騎士としての素晴らしい功績を語る中、リデルは第二ラウンドを開始すべくロイドに話を振ったんだった。
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